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PARP阻害薬タラゾパリブがBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性乳がんならびに去勢抵抗性前立腺がんの適応承認を申請

[公開日] 2023.03.09[最終更新日] 2024.10.24

2月24日、ファイザー株式会社は、ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるタラゾパリブトシル酸塩カプセル(以下タラゾパリブ)について、「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」および「去勢抵抗性前立腺がん」の適応承認を申請した。

タラゾパリブはPARP1/2阻害薬。PARP1/2はDNA修復に重要な役割を担っており、それを阻害すること相同組換え修復または他のDNA修復経路に関与する遺伝子に変異または欠損があるがん細胞に死をもたらすと考えられている。

「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術または再発乳がん」に対する承認は、海外第3相EMBRACA試験および国内第1相試験の結果に基づくもの。EMBRACA試験では、転移性乳がんに対する化学療法歴がありBRCA遺伝子変異を有する局所進行/転移性乳がん患者を対象に、タラゾパリブ1mgを投与する群と医師選択の化学療法群とに振り分け、有効性と安全性を評価した。その結果、主要評価項目である無増悪生存期間の(PFS)延長を認め、忍容性は良好であった。また、国内第1相試験では、BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性の局所進行/転移性乳がんの日本人患者に対するタラゾパリブの有効性および安全性を評価し、臨床的に意義のある抗腫瘍効果を認めた。

「去勢抵抗性前立腺がん」に対する承認は第3相TALAPRO-2試験の結果に基づくもの。TALAPRO-2試験は、転移性去勢抵抗性患者に対してタラゾパリブ+エンザルタミド併用療法を実施する群とプラセボ+エンザルタミド併用療法を実施する群に振り分け、有効性と安全性を評価した国際共同第3相臨床試験。同試験の結果、主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の改善が示された。

ファイザーR&Dの石橋太郎社長は、プレスリリースにて「本剤の臨床試験にご参加いただいた患者さんと医療機関の皆様に感謝申し上げます。乳がんおよび前立腺がんの患者さんにこの新たな治療選択肢をお届けできるよう、承認取得に向けて関係者と協業してまいります」と述べている。

BRCA遺伝子変異陽性乳がんとは BRCA1/2遺伝子は、二本鎖DNA切断の修復経路において重要な役割を果たしている。そのBRCA1/2遺伝子の変異は、遺伝性乳がんの20~25%およびすべての乳がんの5%で認められる。この変異を受け継いだ女性は、BRCA1遺伝子変異で55~65%、BRCA2遺伝子変異では45%が70歳までに乳がんを発症するといわれている。また、BRCA1/2遺伝子変異を有する乳がんは、発症時期が低齢であることが多いため、特にアンメットメディカルニーズが高い。

去勢抵抗性前立腺がんとは 去勢抵抗性前立腺がんはアンドロゲン除去療法を行っても腫瘍が進行する状態と定義されている。前立腺がんの中でも治療が困難であり、がんが進行し死亡に至ることがあるため、転移性去勢抵抗性前立腺がんには依然として大きなアンメットメディカルニーズが存在する。

参照元: ファイザー株式会社 プレスリリース
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