フチバチニブ、FGFR2遺伝子変異を有する局所進行/転移性胆道がんを対象に製造販売承認を申請ー大鵬薬品ー


  • [公開日]2022.08.01
  • [最終更新日]2022.08.01

7月28日、大鵬薬品工業株式会社は、FGFR阻害薬であるフチバチニブ(開発コード:TAS-120)について、「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子を含む遺伝子再構成を伴う局所進行または転移性胆道がん」を適応症として厚生労働省に製造販売承認を申請したと発表した。

胆道がんは、がんが発生した部位により、胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんに分類され、肝臓内にある胆管に発生する肝内胆管がんは、胆管がんの一部に含まれる。肝内および肝外胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんを合わせた胆道がんの国内における年間の罹患者数は約2.5万人と推定される。胆道がんにおける治療法は、現時点では選択肢が限られており、一次治療後に増悪した局所進行/転移性の胆道がんに対しては、標準治療が確立していない。

今回の申請は、FGFR2遺伝子変異陽性患者を対象に実施された第2相FOENIX-CCA2試験(NCT02052778)の結果に基づくもの。FOENIX-CCA2試験は、FGFR2遺伝子の融合またはその他の再構成を有する局所進行/転移性の切除不能な肝内胆管がん患者(N=103人)を対象に21日を1サイクルとして、1日1回フチバチニブ20mgを投与し、有効性安全性を評価した。同試験の主要評価項目は全奏効率ORR)だった。

大鵬薬品はリリースにて「大鵬薬品は、患者さんに新たな治療薬をお届けできるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります」と述べている。

なお、FGFR2遺伝子の融合またはその他の再構成を検出するためのコンパニオン診断機能を有する医療機器については、シスメックス株式会社と共同開発を行っている。

フチバチニブ(TAS-120)とは
フチバチニブはFGFR1/2/3/4を不可逆的かつ選択的に阻害する経口の共有結合型FGFR阻害剤。FGFR1/2/3/4のATP結合部位に結合しFGFRを介するシグナル伝達経路を阻害することで、FGFR1/2/3/4遺伝子異常を有する腫瘍細胞の増殖を抑制し細胞死へと誘導する機序を持つ。

FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)とは
FGFRは、血管新生、創傷治癒や胚発生に関連している受容体型チロシンキナーゼの1つ。FGF/FGFR遺伝子異常は胆道がんのみでなく、複数のがん腫でドライバー遺伝子候補として着目されている。線維芽細胞増殖因子(FGF)とその受容体(FGFR1/2/3/4)は、多様な種類の細胞に発現し、細胞の増殖、生存、遊走、分化などを制御している。

参照元:
大鵬薬品工業株式会社 ニュースリリース

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