2021年4月9日~14日、オンラインミーティングで開催された米国癌研究会(AACR 2021)にて、治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の肝内胆管がん(iCCA)患者に対するFGFR阻害薬であるFutibatinib(フチバチニブ:TAS-120)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のFOENIX-CCA2試験(NCT02052778)の結果がMassachusetts General HospitalのLipika Goyal氏らにより公表された。
FOENIX-CCA2試験とは、少なくとも1レジメン以上の治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の肝内胆管がん(iCCA)患者に対して1日1回Futibatinib20mg単剤療法を投与し、主要評価項目として独立判定委員会(ICR)評価による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、肝内胆管がん(iCCA)患者の内、約15%程度がFGFR2融合/再構成遺伝子陽性であり、予後不良な希少がんである。FGFR阻害薬であるFutibatinibは第1相試験にて肝内胆管がん(iCCA)を含むFGFR2融合/再構成遺伝子陽性がんに対して良好な抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、FGFR2融合/再構成遺伝子陽性の肝内胆管がん(iCCA)に対するFGFR阻害薬Futibatinib単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された103人の患者背景は下記の通りである。性別は女性56%。前治療歴中央値は2レジメン以上が53%。FGFR2融合陽性は78%、FGFR2再構成陽性22%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
客観的奏効率(ORR)は41.7%(N=43/103人)を示し、主要評価項目達成基準である客観的奏効率(ORR)20%を上回り、主要評価項目を達成した。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は9.7ヶ月、6ヶ月奏効持続率(DOR)は72%を示した。病勢コントロール率(DCR)は82.5%、無増悪生存期間(PFS)中央値は9.0ヶ月、全生存期間(OS)中央値は21.7ヶ月を示した。
また、サブグループ解析の結果、65歳以上の患者における客観的奏効率(ORR)は65.2%、前治療歴2レジメン以上の患者における客観的奏効率(ORR)は38.7%を示し、患者背景に関係のない抗腫瘍効果を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は高リン血症85%、脱毛症33%、口渇30%であった。また、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は高リン血症30%であり、これら治療関連有害事象(TRAE)は十分な対処により管理可能であった。
以上のFOENIX-CCA2試験の結果よりLipika Goyal氏らは「治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の肝内胆管がん(iCCA)患者に対するFGFR阻害薬TAS-120(Futibatinib)単剤療法は、持続的で良好な抗腫瘍効果を示し、この抗腫瘍効果は患者背景に関係なく確認されました。また、有害事象(AE)は用量調整により管理可能であり、それにより抗腫瘍効果が弱めることなく、QOLが維持されました」と結論を述べている。
Primary results of phase 2 FOENIX-CCA2: The irreversible FGFR1-4 inhibitor futibatinib in intrahepatic cholangiocarcinoma (iCCA) with FGFR2 fusions/rearrangements(AACR Annual Meeting2021,Abstract CT-010)