目次
- 1 がんの遺伝子検査にはさまざまな種類と検査の目的が
- 1-1
- 1-2
- 1-3
- 2 これからの遺伝子検査
- 2-1
- 2-2
- 2-3
がんの遺伝子検査にはさまざまな種類と検査の目的が
がん遺伝子検査(がんゲノム検査)と言っても、その検査方法や目的、精度などは様々です。この記事では特に、治療薬選定や治療方針の決定のために「がん発症後」に実施される検査に焦点を当てて解説します。単一の遺伝子を調べるシングルプレックス検査
シングルプレックス検査(単一遺伝子検査)とは、治療薬が既に承認されている特定の遺伝子変異だけに絞った検査のことです。治療薬の適応判定(コンパニオン診断:CDx)が検査の目的です。つまり、ある薬が標的とする遺伝子変異を持っているかどうかを調べるための検査です。 各薬剤とそれに紐づくコンパニオン診断薬は数多くの種類があります。詳しい情報は下記の医薬品医療機器総合機構(PMDA)のページをご覧ください。 ■関連リンク 医薬品医療機器総合機構 コンパニオン診断薬等の情報複数の遺伝子変異を調べるマルチプレックス検査
シングルプレックス検査が単一の遺伝子を調べる検査であるのに対して、マルチプレックス検査はその名の通り、がんに関連した複数の遺伝子異常を一度に調べる検査です。 コンパニオン診断が目的の遺伝子検査は、これまでは多くが単一検査として実施されてきました。しかし、治療対象となる遺伝子変異の種類が増えてきたことから、マルチプレックスへの移行が始まっています。 例えば、「AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」では、1回の測定で同時に複数の遺伝子変異を検出することが可能です。これまでEGFR、ALK、ROS1、BRAF、METの変異が検査できましたが、2022年11月にはKRASが加わり、6つの遺伝子を調べるコンパニオン診断として使用可能です。 また、次世代シークエンサー(NGS)の登場により、複数の遺伝子を高速で読み取れるようになり、マルチプレックス検査の重要性が高まっています。例えば、「オンコマイン Target Test マルチCDx システム」は、腫瘍検体由来のDNAから46の遺伝子を解析するとともに、腫瘍検体由来のRNAからALK、ROS1、RETなど21の融合遺伝子を解析することができます。これにより、EGFR、ALK、ROS1、BRAF、RETのコンパニオン診断としての使用可能です。CGP検査/がんパネル検査としてのマルチプレックス検査
マルチプレックス検査のもうひとつの使用目的は、がんゲノムプロファイリング検査(CGP検査、パネル検査と表現されることもあります)です。コンパニオン診断は標準治療の判定に使われているのに対し、CGP検査は標準治療終了(見込み)後に実施され、承認薬の有無に関わらず、がんとの関連が知られている遺伝子変異を網羅的に調べることができます。検査結果に基づき、専門家による話し合いが行われ、臨床試験なども含めた治療選択が慎重に判断されます。なお、保険でのパネル検査は、お一人につき一回のみという制限があります。個別化治療はどこまで進んだか?がんゲノムプロファイリング検査の今
現在保険償還されている次世代シークエンサーを用いたマルチプレックス検査システムは、下表にまとめています(2023年7月現在)。 緑:組織検体による検査、青:血漿検体による検査 この他にも、自由診療で受けることができるマルチプレックス検査は複数あります。 (MSK-IMPACT、Gurdant360、東大オンコパネル、OncoPrime、PlsSision、TruSight Oncology500等)