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リムパーザ、相同組換え修復関連遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん治療薬としてFDAが追加承認申請の受理、優先審査に指定-アストラゼネカ社ー


  • [公開日]2020.01.29
  • [最終更新日]2020.01.29

2020年1月20日(現地時間)、英アストラゼネカ社および米Merck社は、相同組換え修復関連遺伝子変異HRRm)を有するまたはその疑いがあり、新規ホルモン製剤(NHA)による治療中に病勢進行が認められた転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の治療薬として、米国でオラパリブ(商品名:リムパーザ)が追加承認申請の受理および優先審査に指定されたことを発表した。

処方薬ユーザーフィー法に基づく審査期限は、2020年第2四半期を予定している。

米国食品医薬品局(FDA)の優先審査指定は、2019年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の年次総会プレジデンシャルシンポウムにおいて発表された第3相PROfound試験の結果に基づくもの。

PROfound試験においてリムパーザは、主要評価項目であるBRCA1/2またはATM遺伝子変異を有するmCRPCの患者集団における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)において、アビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミド投与群と比較して病勢進行または死亡のリスクを66%減少した(ハザード比0.34 / p<0.0001)。

加えて、主要な副次評価項目であるHRRmを有するすべてのmCRPC患者集団(BRCA1/2、ATM、CDK12およびその他11のHRR関連遺伝子)でのrPFSにおいても、リムパーザはアビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミド投与群と比較して病勢進行または死亡のリスクを51%減少した(ハザード比0.49 / p<0.0001)。

PROfound試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルはこれまでの試験で確認されたものとほぼ一致していた。

※日本国内未承認においてmCRPCに対するリムパーザの適応は未承認

PROfound試験について

PROfound試験は前向き無作為化非盲検多施設共同第3相試験で、NHAによる治療歴のある進行がんで、かつBRCA1/2、ATM、CDK12などの相同組換え修復(HRR)に関連する15の遺伝子のうちのいずれかに変異が見られるmCRPC患者を対象にリムパーザの有効性と安全性を評価する試験。

この試験は、HRRmを有する患者を2つの患者集団に振り分けて組み入れ、解析するよう設計された。

主要な解析対象集団は、BRCA1/2またはATM遺伝子変異を有する患者を含めた集団であり、この集団でリムパーザが臨床的ベネフィットを示した場合、副次的な解析対象集団として、HRRm(BRCA1/2、ATM、CDK12およびその他11のHRR関連遺伝子)を有する全患者を含めた集団も対象に解析を実施した。

その結果、主要評価項目であるrPFSにおいてリムパーザによる統計学的に有意で臨床的に意義のある延長が示された。

BRCA1/2またはATM遺伝子変異を有するmCRPC患者のrPFSの中央値は、アビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミド投与群では3.6カ月であったのに対し、リムバーザ投与群では7.4カ月に延長した。

また、リムパーザはこれら患者の病勢進行あるいは死亡リスクを66%減少した(ハザード比 0.34 [95% 信頼区間:0.25-0.47]、p<0.0001)。

本試験では、主要な副次評価項目であるHRRmを有するすべてのmCRPC患者集団におけるrPFSも達成した。

リムパーザは病勢進行または死亡のリスクを51%減少し(ハザード比 0.49 [95% 信頼区間:0.38-0.63]、p<0.0001)、rPFSの中央値はアビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミド投与群の中央値3.5カ月に対し、リムパーザ投与群では中央値5.8カ月であった。

なお、PROfound試験は、バイオマーカー選択された前立腺がん患者に対する治療として、良好な結果が得られた最初の第3相試験。

PROfound試験のリムパーザの安全性および忍容性プロファイルはこれまでの臨床試験で認められたプロファイルとほぼ一致するものであった。

発現頻度が20%以上の有害事象は貧血(47%)、悪心(41%)、疲労/無力症(41%)、食欲減退(30%)、および下痢(21%)。発現率1%以上のCTCAEグレード3以上の有害事象は、貧血(22%)、疲労/無力症(3%)、嘔吐(2%)、呼吸困難(2%)、尿路感染(2%)、肺塞栓症(2%)、食欲減退(1%)、下痢(1%)および背部痛(1%)。

なお、リムパーザ投与群の患者の16%が有害事象により投与を中止した。

相同組換え修復(HRR)遺伝子変異について

HRRは二本鎖切断および鎖間架橋の形で損傷したDNAを高い精度でかつ誤りのない修復を可能にするDNA修復プロセスを指す1,2。

DNAの損傷を正確に修復できない場合、ゲノムの不安定性につながり、がんの発症原因になる5。

HRRの欠損は損傷したDNAを修復する能力の低下につながり、HRRの欠損はリムパーザなどのPARP阻害剤の標的となるがん細胞の特徴の一つである。

PARP阻害剤はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞死を誘導する3

出典
1 4. Li et al. (2008). Homologous recombination in DNA repair and DNA damage tolerance. Cell Research, 18(1), pp.99-113
2 Ledermann et al. (2016). Homologous recombination deficiency and ovarian cancer. European Journal of Cancer, 60, pp.49-58.
3. Bray et al. (2018). Global cancer statistics 2018: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA: A Cancer Journal for Clinicians, 68(6), pp.394-424.

参照元:
アストラゼネカプレスリリース

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