トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201) 米国におけるHER2陽性乳がんの承認申請が受理


  • [公開日]2019.10.17
  • [最終更新日]2019.10.17

2019年10月17日、第一三共株式会社と英アストラゼネカ社は、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201、HER2に対する抗体薬物複合体ADC*1)について、HER2陽性乳がんに係る生物学的製剤承認申請が米国食品医薬品局(以下FDA)にて受理され、また優先審査*2の指定を受けたことを発表した。

FDAによる審査終了目標日(PDUFA date)は、2020年度第1四半期に設定された。

同申請は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発転移性乳がん患者を対象に北米、欧州および日本を含むアジアで実施されたグローバル第2相臨床試験(DESTINY-Breast01)および日米共同第1相臨床試験の結果に基づくものである。

トラスツズマブ デルクステカンについては、現在、HER2陽性乳がんに加え、HER2低発現乳がん、HER2発現の胃がん、大腸がんおよび非小細胞肺がん等を対象とした臨床試験を実施中。

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めている。

*2 FDAの優先審査とは、治療上重要な進歩をもたらす薬剤や、現在適切な治療法がない疾患への治療法を提供する薬剤に対して指定されるもので、通常審査期間(10ケ月目標)に比べ審査期間の短縮(6ケ月目標)が見込まれる。

HER2陽性の乳がんについて
乳がんは、世界において2018年に約210万人/年の新規患者が報告されており、女性において主要ながん死亡原因となっている。乳がん患者の約20%は、がん細胞表面にHER2というタンパク質が過剰発現しているHER2陽性乳がん。抗HER2療法の登場によりHER2陽性乳がん患者の生存率は改善しているが、既存薬による治療後に再発・転移したHER2陽性乳がんにおいては治療の選択肢が限られており、依然として高いアンメット・メディカル・ニーズがある。

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参照元:第一三共株式会社プレスリリース

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