2019年9月9日、第一三共株式会社(以下、第一三共)は、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*、以下「本剤」)について、HER2陽性乳がんに係る国内製造販売承認申請を行ったことを発表した。
今回の申請は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたグローバル第2相臨床試験(DESTINY-Breast01、北米、欧州及び日本を含むアジアで実施)および日米共同第1相臨床試験の結果に基づくものである。
なお、同剤は現在、HER2陽性乳がんに加え、HER2低発現乳がん、HER2発現の胃がん、大腸がんおよび非小細胞肺がんなどを対象とした臨床試験を実施中である。*抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めている。
HER2陽性の乳がんについて 乳がんは、世界において2018年に約210万人/年の新規患者が報告されており、女性において主要ながん死亡原因となっている。乳がん患者の約20%は、がん細胞表面にHER2というタンパク質が過剰発現しているHER2陽性乳がん。抗HER2療法の登場でHER2陽性乳がん患者の生存率は改善しているが、既存薬による治療後に再発・転移したHER2陽性乳がんは治療の選択肢が限られており、依然として高いアンメット・メディカル・ニーズがある。
参照元:第一三共株式会社プレスリリース