この記事はシリコンバレー在住のビジネスライターAyako Jacobssonさんが著す「特集:欧米がん治療事情」となります。Ayakoさんは脂肪肉腫のがんサバイバーであり、その体験記や海外のがん事情を月2回のペースで掲載していきます。今回、コストコの「グルメのたれ」で日本でも有名なヨシダソースの吉田潤喜氏への独占インタビューとなります。

前回記事:ヨシダソース創業者・ヨシダグループ社会長 吉田潤喜氏に聞く がん制覇戦略術(その1)

お金は追いかけると逃げていく。でも、危機になるといつでも助けてくれた。

- 吉田会長はがん治療に多額の寄付をなさり、ご家族で取り組まれていらっしゃいますが、お心構えなどついてお話下されば、幸いです。

吉田:退職金で会社の倒産の危機を救ってくれた義父のブーマーが、結腸がんで亡くなったこともあって、妻のリンダがソウルフル・ギビング財団の理事を務め、一緒にがんのチャリティに長年取り組んできている。財団主催で自宅を解放して食べ物や音楽を提供し、チケットをネット(http://www.soulfulgiving.org/)で販売し、その収益を寄付するんだ。来年は8月4日にソウルフル・ギビング・ブランケット・コンサートをやる。

僕は、がん治療はビジネスだと考えているんだ。がんはビジネスと一緒でお金を突っ込む。つまり、お金を研究に突っ込んでいくと、治療法が見つかるからね。

ビジネスを大きくするのにお金を投資し成長していったように、がんの治療も同じこと。もっともっとお金を集めないといけない。がん研究をやって、より良い治療法を見つけ、さらに進めていくためには、寄付を集めて募っていかないとだよね。

- 吉田会長は子供がん協会理事、オレゴン州のドーエンベッカー子供病院、ランダル子供病院などに貢献されていらっしゃいますが、そのきっかけをお教え下さい。

吉田:ドーエンベッカー子供病院では18年間理事を務めた。僕の子供ががんになったから貢献するんですかと、人からよく聞かれるんだけど、そうじゃないんだ。
自分の子供が健康だからこそ、がんの子供を助けるんだよ。

長女のクリスティーナが生まれた直後に大病にかかって、シアトル子供病院に駆け込んだんだ。先生達が24時間つきっきり、5日間続けて治療してくれたから、クリスティーナは助かった。子供病院はお金がないことを察してくれて、たった250ドルだけ請求された。その時は、いつか絶対に恩返ししようと心に誓ったんだ。つまり、Giving Back!だ。

- 2011年には米国赤十字から、フィランソロピスト(慈善家)オブ・ザ・イヤーを受賞されました。アメリカでの慈善活動の背景や必然性などについてお話下さい。

吉田:アメリカは健康保険の保険料が非常に高く、病院に行けない人も多い。子供ががんにかかると、親が子供のために破産宣告してがん治療を受けたりすることもあるんだ。破産して貧乏になると、医療費が無料になり、フードスタンプというEBT(Electronic Benefit Transfer)カードも出て、福祉が面倒を見てくれるからね。その一方で、アメリカにはクリスチャン精神があって、人を助けることに誇りを持っている。

保険のない外国からの移民に病院が治療できるように運営するから、企業や篤志家から寄付を集めるボランティア活動が必要だし、ずっとやってきたんだ。

最近日本からやってきた事業家が高い時計を買って喜んでいたけれど、アメリカの事業家と心構えが違うと思った。

そんな使い方は悲しいお金で、幸せなお金の使い方じゃない。人をハッピーにする使い方をしないとダメなんだ。今ではヨシダグループとしてヨシダソースをはじめ、飲料水開発、レストラン経営、マンション・アパートやオフィスビルそしてリゾート開発事業を抱えているけど、過去に4回資金繰りで苦労した。ゴルフ場の開発に投資して失敗した時は、ピストルで頭を撃ち抜いて死のうと思ったことだってある。

お金は追いかけると逃げていくんだ。でも、危機になると、いつも誰かが助けてくれた。人が成功して大きくなっていくには、感謝して、返していかないと。要するにお金儲けより、人儲けなんだよ。

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