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びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するイノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP併用療法が2年無増悪生存率49%を示す

この記事の3つのポイント
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者が対象の第2相試験
イノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP併用療法有効性安全性を比較検証
・2年無増悪生存率はゲムシタビン+RCVP45%に対し、イノツズマブ オゾガマイシン+RCVP49%を示した

2020年6月11日~14日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2020)にてびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するファーストライン治療としての抗CD22抗体-薬物複合体ADC)であるイノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP(リツキシマブ+シクロスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾロン)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験の結果がThe University of ManchesterのElizabeth Phillips氏らにより公表された。

本試験は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するファーストラインとしてそれぞれ21日を1サイクルとして、イノツズマブ オゾガマイシン0.8mg/m2+R-CVP(リツキシマブは標準の2倍量)併用療法を投与する群とゲムシタビン875~1000mg/m2(PS2の場合は750mg/m2)+R-CVP併用療法を投与する群に無作為に振り分け6サイクル投与。主要評価項目無増悪生存期間PFS)として比較検証した。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の標準治療はR-CHOP療法であるが、本治療は高齢、合併症のある患者に対して忍容性が不十分である。そこで、アントラサイクリン系抗がん剤であるドキソルビシンを減量、変更するレジメンが開発され、ゲムシタビン+R-CVP併用療法の有用性が近年示された。以上の背景より、アントラサイクリン系抗がん剤のように腫瘍細胞を直接標的にした抗CD22抗体-薬物複合体(ADC)であるイノツズマブ オゾガマイシンの有用性を確認する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された129人の患者の年齢中央値は79歳(59-88歳)。イノツズマブ オソガマイシン+RCVP群は60人、ゲムシタビン+RCVP群は63人に割り付けられた。合併症の内訳としては高血圧症75%、虚血性心疾患55%、不整脈41%、腎障害38%、糖尿病32%、心臓弁膜症11%である。なお、患者背景は両群で大きな偏りはなかった。

本試験の主要評価項目である2年無増悪生存率(PFS)はイノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP群49%(95%信頼区間:35%–61%)に対して ゲムシタビン+R-CVP群45%(95%信頼区間:32%–58%)、イノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを19%(HR:0.81,70%信頼区間:0.63-1.04)減少するも統計学的有意な差は確認されなかった。

なお、予後指標であるIPIスコア3-5群の無増悪生存期間(PFS)は、イノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを48%(HR:0.52,95%信頼区間:29–92%)減少した。

全生存期間OS)は、イノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP群で死亡(OS)のリスクを16%(HR:0.84,70%信頼区間:0.64-1.09)減少した。客観的奏効率ORR)はイノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP群74.6%に対して ゲムシタビン+R-CVP群58.3%(p=0.06)を示した。

安全性として、有害事象(AE)発症率は以下の通りである。グレード3以上の白血球減少症はイノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP群13%に対してゲムシタビン+R-CVP群44%、貧血は10%に対して25%、心血管イベント6%に対して21%、ALT上昇3%に対して17%であった。

以上の第2相試験の結果よりElizabeth Phillips氏らは「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するファーストライン治療としての抗CD22抗体-薬物複合体(ADC)であるイノツズマブ オゾガマイシン+R-CVP併用療法は、ゲムシタビン+R-CVPに対して無増悪生存期間(PFS)で優越性を示すことはできませんでしたが、IPIスコア3-5の患者群においては優越性を示すことができました」と結論を述べている。

INOTUZUMAB OZOGAMICIN PLUS R-CVP IS A FEASIBLE AND EFFECTIVE REGIMEN FOR FRONTLINE TREATMENT OF DLBCL IN PATIENTS WHO ARE UNFIT FOR R-CHOP: RESULTS OF A RANDOMISED PHASE 2 UK NCRI TRIAL(2020 EHA OPEN ACCESS LIBRARY,Abstract No:S232)

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