・成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AML患者が対象
・OSはゾスパタ投与群で9.3ケ月、救援化学療法群で5.6ケ月だった
4月2日、アステラス製薬株式会社は、成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病(AML)治療剤ギルテリチニブ(製品名:ゾスパタ)について、第3相ADMIRAL試験の結果を米国がん学会年次総会(AACR Annual Meeting 2019)で口頭発表した。ゾスパタは、救援化学療法と比べて、成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AML患者の全生存期間(OS)を有意に延長した。
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ADMIRAL試験( NCT02421939)は、AMLに対する一次治療後に再発した、または一次治療抵抗性のFLT3遺伝子変異陽性の成人AML患者が対象の第3相試験で、ゾスパタと救援化学療法を比較する非盲検多施設無作為化試験として実施された。本試験の主要評価項目は全生存期間(OS)。本試験には骨髄あるいは全血においてFLT3遺伝子変異陽性と中央測定機関で判定された患者371名が組み入れ、2:1の割合でゾスパタ(120mgを1日1回)または救援化学療法のいずれかを投与する群に無作為に割付けられた。
その結果、ADMIRAL試験における全生存期間(中央値)は、救援化学療法群の5.6ケ月に対し、ゾスパタ投与群は9.3ケ月(ハザード比=0.637(95%信頼区間 0.490, 0.830), p=0.0007)。また、1年生存率は、救援化学療法群の17%に対し、ギルテリチニブ投与群は37%だった。
投与開始後30日間にグレードを問わず10%以上の患者に発現した有害事象は、ゾスパタ投与群で、貧血(33%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加(24%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加(24%)、発熱性好中球減少症(21%)、血小板減少症(19%)、便秘(17%)、発熱(15%)、疲労(15%)、好中球数減少(14%)、血中アルカリホスファターゼ増加(13%)、悪心(13%)、低カリウム血症(11%)、咳(11%)、頭痛(10%)、下痢(10%)。
救援化学療法群では、貧血(33%)、発熱性好中球減少症(32%)、悪心(30%)、下痢(28%)、低カリウム血症(27%)、発熱(26%)、食欲減少(17%)、白血球数減少(17%)、血小板減少症(16%)、便秘(14%)、腹痛(14%)、高血糖(13%)、頭痛(13%)、口内炎(13%)、疲労(11%)、好中球数減少(11%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加(10%)、嘔吐(10%)、末梢性浮腫(10%)、低マグネシウム血症(10%)。
ゾスパタは、アステラス製薬と寿製薬株式会社の共同研究で見出された。日本および米国では、「再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能・効果として製造販売承認を2018年11月に取得し、同年12月よりアステラス製薬が販売している。また欧州では、2019年2月に同様の効能・効果に関する販売承認申請を行った。現在、アステラス製薬は、様々なFLT3変異陽性AML患者を対象とした複数の第3相試験を実施し、ギルテリチニブの有効性および安全性を検証している。