未治療進展型小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+化学療法、死亡(OS)のリスクを30%、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを23%統計学的有意に減少第19回世界肺がん学会議(WCLC 2018)より


  • [公開日]2018.10.03
  • [最終更新日]2019.04.18
この記事の3つのポイント
・未治療小細胞肺がん患者対象の免疫チェックポイント阻害薬の第三相試験
テセントリク+化学療法併用療法の有効性を標準化学療法と比較検証した
・既存の標準治療よりもよい成績を修めた

2018年9月24日、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺がん学会議(WCLC 2018)にて未治療の進展型小細胞肺がん患者に対する1次治療としての抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+カルボプラチン+エトポシド併用療法と化学療法の有効性を比較検証した第III相のIMpower133試験(NCT02763579)の結果が公表された。

IMpower133試験とは、化学療法治療歴のない進展型小細胞肺がん患者(N=403人)に対する1次治療としてテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用療法を投与する群、またはカルボプラチン+エトポシド併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した多施設共同二重盲検化下の第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群12.3ヶ月に対してカルボプラチン+エトポシド併用群10.3ヶ月、テセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群で死亡(OS)のリスクを30%統計学的有意に減少(HR:0.70, 95%信頼区間:0.54-0.91,p=0.0069)した。なお、1年全生存率(OS)はテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群51.7%に対してカルボプラチン+エトポシド併用群38.2%であった。

また、もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群5.2ヶ月に対してカルボプラチン+エトポシド併用群4.3ヶ月、テセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを23%統計学的有意に減少(HR:0.77,95%信頼区間:0.62-0.96; p=0.017)した。なお、1年無増悪生存率(PFS)はテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群12.6%に対してカルボプラチン+エトポシド併用群5.4%であった。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群60%に対してカルボプラチン+エトポシド併用群64%であった。また、奏効持続期間(DOR)中央値はテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群4.2ヶ月に対してカルボプラチン+エトポシド併用群3.9ヶ月であった。

一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者はテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用群56.6%に対してカルボプラチン+エトポシド併用群56.1%であった。なお、テセントリク併用群の安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されているものと一致しており、本試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。

以上のIMpower133試験の結果よりエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning氏は以下のように述べている。”未治療の進展型小細胞肺がん患者に対する1次治療として既存の標準治療より成績が上回る治療レジメンは20年ぶりになります。我々は今後も政府当局と協議を進め、本試験の結果を臨床で反映できるように努めてまいります。”

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社のプレスリリースはこちら
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2018-09-25.htm

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