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非小細胞肺がん FDA(米国) 二次治療としてPD-L1抗体アテゾリズマブ承認~オプジーボ、キイトルーダに続く免疫チェックポイント阻害薬登場~

[公開日] 2016.10.20[最終更新日] 2016.10.20

目次

10月19日、F. ホフマン・ラ・ロシュ社は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が「プラチナ製剤を含む化学療法に対して病態進行した転移性非小細胞肺がん(EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子変異対象外)」の適応として、免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体アテゾリズマブ(テセントリク)を承認したと発表した。本承認は無作為化第3相臨床試験(OAK study)および第2相臨床試験(POPLAR study)の結果を受けてのものである。

非小細胞肺がん適応として初のPD-L1抗体が承認

OAK試験の結果は、10月7日から11日までデンマークのコペンハーゲンにて開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)において、公表されたばかりである。 OAK試験は、プラチナ製剤含む化学療法を1回以上施行中または施行後に病勢が進行した非小細胞肺がん患者1,225名を対象として実施(二次治療および三次治療)。オープンラベルランダム化試験として、参加した患者は、3週間毎アテゾリズマブ1,200 mg静注する群(Tecentriq群)とドセタキセル(タキソテール)75 mg/m2静注する群(Docetaxel群)に1:1の割合で割り付けられた。扁平上皮癌(26%)および非扁平上皮癌(74%)の両組織型を対象とし、PD-L1の発現状況を問わずに登録された。 結果、PD-L1の発現状況に関わらない全集団において、アテゾリズマブ群の全生存期間(OS)中央値は13.8カ月であり、ドセタキセル(タキソール)と比べ4.2カ月の延長した(OS中央値:13.8カ月対9.6カ月;ハザード比0.73、95%Cl:0.62-0.87)。有害事象は、これまでに観察されたものと一致していた。 以下、中外製薬プレスリリース(10月13日)を転載。 Tecentriq:アテゾリズマブ Docetaxel:ドセタキセル ITT:intention to treatの略であり、この試験結果の場合、参加された方のうち最初から順番に850名までの方 TC:腫瘍細胞のPD-L1発現 IC:腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1発現 2016y10m20d_002450941 * TC 0およびIC 0のサブグループは無層別、その他は層別 ** 層別log-rank検定 2016y10m20d_002513145 2016y10m20d_004550162 2016y10m20d_004529370 なお、非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬としては、PD-1抗体のニボルマブ(オプジーボ)とペムブロリズマブ(キイトルーダ)が承認されているが、PD-L1抗体としては初の承認となる。その他、米国では、膀胱がん対象(進行・転移尿路上皮がんにおいて、プラチナ製剤による化学療法を実施後にがんが悪化した方、術前化学療法および術後補助化学療法を含みプラチナ製剤使用後12カ月以内にがんが悪化した方)として取得されている。

オプジーボとキイトルーダの過去の結果はどうであったか?

なお、免疫チェックポイント阻害薬の比較としては、以下の通り。※試験条件が異なるため参考値であることを注意 ◆非小細胞肺がん(扁平上皮癌)の患者を対象とした第3相臨床試験(CheckMate-017) ・全生存期間の中央値:オプジーボ群が9.2 カ月、ドセタキセル群が6.0 カ月 ◆非小細胞肺がん(非扁平上皮癌)の患者を対象とした第3相臨床試験(CheckMate-057) ・全生存期間の中央値:オプジーボ群が12.2 カ月、ドセタキセル群が9.4 カ月 切除不能な進行・再発非小細胞肺がん 免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ 承認(オンコロニュース2015年12月17日) ◆非小細胞肺がんの患者を対象とした第3相試験(Keynote-010)※PD-L1発現している方のみ ・全生存期間の中央値:ペムブロリズマブ2mg/kg群、10.4か月、ペムブロリズマブ10mg/kg群:12.7か月、ドセタキセル群:8.5か月 非小細胞肺がん 免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体ペムブロリスマブ(キイトルーダ) 生存期間を延長 Lancet(オンコロニュース2016/1/11)

アテゾリズマブの治験情報

その他、アテゾリズマブは、国内において、非小細胞肺がんを対象とした第2相国際共同治験ならびに第3相国際共同治験、非小細胞肺がんの術後補助療法の第3相国際共同治験、小細胞肺がんを対象とした第3相国際共同治験、膀胱がんを対象とした第3相国際共同治験、筋層浸潤膀胱がんの術後補助療法の第3相国際共同治験、腎細胞がんを対象とした第3相国際共同治験、および乳がんを対象とした第3相国際共同治験が実施中とのこと。 以下、Clinical trials.gov上の「lung cncer」にて参加者募集中の試験。 ■扁平上皮非小細胞肺がん アテゾリズマブの第3相試験 対象:扁平上皮非小細胞肺がん、初回治療 治療:「アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(or nabパクリタキセル)」、「カルボプラチン+nabパクリタキセル」 ■非扁平上皮非小細胞肺がん アテゾリズマブの第3相試験 対象:非扁平上皮非小細胞肺がん、初回治療 治療:「アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(or +ベバシズマブ)」、「カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ」 ■非扁平上皮非小細胞肺がん アテゾリズマブと標準療法を比較する第3相試験 対象:非扁平上皮非小細胞肺がん、初回治療 治療:「アテゾリズマブ」、「シスプラチン(or カルボプラチン)+ペメトレキセド(アリムタ)」 ■非扁平上皮非小細胞肺がん アテゾリズマブと標準療法を比較する第3相試験(JAPIC-CTIに飛びます) 対象:非扁平上皮非小細胞肺がん、初回治療 治療:「アテゾリズマブ」、「アテゾリズマブ+カルボプラチン(またはシスプラチン)+ペメトレキセド(アリムタ)」、「シスプラチン(またはカルボプラチン)+ペメトレキセド(アリムタ)」 FDA approves Roche’s cancer immunotherapy TECENTRIQ (atezolizumab) for people with a specific type of metastatic lung cancer(Roche's Media Release 19/Oct/2016) 記事:可知 健太
ニュース 肺がん 免疫チェックポイント阻害薬

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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