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非小細胞肺がん 化学療法に比べペムブロリズマブ(キイトルーダ)が初回治療でリスク半減 NEJM

[公開日] 2016.10.14[最終更新日] 2016.10.14

目次

非小細胞肺がん ペムブロリズマブ一次治療の第3相試験で主要エンドポイント達成

~化学療法群と比べ病勢進行または病態進行リスクが半減 ESMO 2016~

免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とする第3相無作為化オープンラベル試験で、主要エンドポイントである無増悪生存(PFS)期間はプラチナ製剤を含む2剤化学療法群と比べ有意に延長し、病勢進行、または死亡のリスクが半減することが示された。 2016年10月7日から11日までデンマークで開始された第40回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のプレジデンシャルシンポジウムで、ドイツLung Clinic GrosshandorfのMartin Reck氏らが第3相試験(KEYNOTE-024、NCT02142738)の結果を発表し、発表同日(2016年10月9日)のNew England Journal of Medicine(NEJM)にも掲載された。 ※当サイトでも以下にて速報を報じた。 進行非小細胞肺がん初回治療、キイトルーダ有効性を確認、オプジーボはセレクションが必要 ESMO2016 キイトルーダは、米国食品医薬品局(FDA)により悪性黒色腫、および非小細胞肺がん(NSCLC)の適応で画期的治療薬に指定され、迅速承認された。日本でも2016年9月、MSD社が根治切除不能の悪性黒色腫の適応で厚労省による承認を取得した。非小細胞肺がんの適応でも承認申請中である。

~試験デザイン・方法~

2014年9月19日から2015年10月29日、18歳以上、全身治療歴のないステージIVの非小細胞肺がん(NSCLC)で上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変異、または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子転座がなく、腫瘍組織のプログラム細胞死受容体1リガンド(PD-L1)発現スコアが50%以上の患者305人をキイトルーダ群、または化学療法2剤併用群に無作為に割り付けた(各154人、151人)。キートルーダは200mgを21日毎に点滴静注した。化学療法群は治験担当医師がプラチナ製剤を含め選択し、最長4サイクルから6サイクル終了後、条件を満たす患者はキイトルーダへの切り替えを可能とした。化学療法で最も多かった組合せはペメトレキセド(アリムタ)+カルボプラチン(パラプラチン)であった(67%)。

~試験結果:有効性~

2016年5月9日の解析時点までの追跡期間中央値は11.2カ月であった。キイトルーダ群の48.1%、化学療法群の10.1%の患者は解析時点で治療を継続中で、治療期間中央値はそれぞれ7.0カ月、3.5カ月であった。化学療法群の66人(43.7%)は病勢進行後、キイトルーダの治療に切り替え、解析時点で57.6%が治療継続中であった。 主要評価項目(プライマリーエンドポイント)である無増悪生存(PFS)期間中央値は、キイトルーダ群(10.3カ月)が化学療法群(6.0カ月)と比べ有意に延長し(p<0.001)、病勢進行、または死亡のリスクを50%軽減した(HR0.50)。PFS期間中央値は年齢や性別、疾患活動性状態(ECOGスコア0または1)、組織型(扁平上皮型、非扁平上皮型)、喫煙歴、脳転移の有無、あるいは化学療法のアリムタの有無による層別解析でも、すべてキイトルーダ群の優位性が証明された。 *無増悪生存(PFS)期間:治療を開始してから病態が進行するまでの期間のこと。 副次評価項目である全生存期間(OS)中央値特定には至っていないが、治療開始後6カ月時点での推定生存率は、キイトルーダ群80.2%、化学療法群72.4%と算出され、ペムブロリズマブ群のOS中央値は有意に延長することが示された(p=0.005、HR=0.60)。 RECIST判定に基づく奏効率(完全奏効(CR)+部分奏効(PR)の患者の割合)は、キイトルーダ群が44.8%(69/154人)、化学療法群が27.8%(42/151人)で、奏効に到達するまでの期間中央値はともに2.2カ月、奏効持続期間は化学療法群が6.3カ月で、キイトルーダ群は最長14.5カ月を超えて中央値特定には至っていない。 *RECIST判定に基づく奏効率:一定の基準にて腫瘍を計測した場合に、主要が30%以上縮小した割合。

~試験結果:安全性~

治療との因果関係が否定できないグレード3以上の有害事象は、キイトルーダ群(26.6%)の方が化学療法群(53.3%)より少なかった。そのうち重篤な事象(各18.8%、19.3%)、および治療中止に至る事象(各5.2%、6.0%)は同等であった。キイトルーダ群で発現した事象は、主に下痢(3.9%)、重度皮膚反応(3.9%)、間質性肺炎(2.6%)など、化学療法群では主に貧血(19.3%)、好中球減少症(13.3%)、血小板数減少(6.0%)など血液毒性であった。 以上、腫瘍細胞のPD-L1発現スコア50%以上の未治療非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するキイトルーダの単剤療法は、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を上回る生存ベネフィットが得られ、奏効率も高かった。特に、キイトルーダ群におけるグレード3以上の治療関連有害事象の発現率は化学療法群のおよそ半分で、高い安全性と良好な忍容性が検証された。 Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer(October 9, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1606774) 記事:川又 総江 & 可知 健太
ニュース 肺がん 免疫チェックポイント阻害薬

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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