学会の「患者さん・ご家族向けプログラム」


こんにちは。オンコロの川上です。
いつも当サイトを訪問いただき、ありがとうございます。


今回は、がん関係の様々な学会が、年1回開催する「学術集会」で実施している患者さん、ご家族向けに企画しているプログラムについて、話題提供したいと思います。


がんに関する学会は、臓器横断的にがん全般を扱う日本癌学会(https://www.cancer.or.jp/)、日本癌治療学会(https://www.jsco.or.jp/)、日本臨床腫瘍学会(https://www.jsmo.or.jp/)をはじめとし、日本肺癌学会(https://www.haigan.gr.jp/)、日本乳癌学会(https://www.jbcs.gr.jp/)など、臓器別にそれぞれの領域で組織されています。


こうした学会はその領域の研究成果を共有し議論するため、年に1度の年次集会を開催し、年次集会には、全国各地から、また、海外からも専門家が集まります。学会組織の代表である理事長とは別に、年次集会の世話人となる先生(会長)が持ちまわりで毎年選出され、年次集会は、会長の先生の意向を反映させた独自のテーマを設定し開催されています。


学会の目的の多くは、各領域の研究を促進し、医療、患者さんへ貢献することですが、学会そのものも、年次集会も、専門性が高い議論の場となっています。この年次集会の場に、ここ十数年ほどで、“Patient Advocate Program(PAP)” などと名づけられたプログラムを通して患者さんやご家族が参加できるようになってきました。


日本で初めて年次集会に患者を受け入れてくれたのは、日本癌治療学会でした。2009年の10月、横浜で開催された年次集会。会長は杉山徹先生(岩手医科大学医学部産婦人科 教授/当時)でした。これ以前から年次集会に患者さんを受け入れ、さまざまなプログラムを患者と協働していた米国臨床腫瘍学会(ASCO)をお手本に、当時、NPO法人キャンサーネットジャパンの理事を務めていた柳澤と川上も、プログラムの企画と運営をサポートさせていただきました。


柳澤が2008年にASCOの年次集会のPAPに参加した際のレポートが日経BPに掲載されていますので、ぜひこちらもお読みください。

2008ASCO体験記(その1)患者・支援団体の参加を歓迎するASCO(上)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/200807/100181.html

2008ASCO体験記(その2)患者・支援団体の参加を歓迎するASCO(下)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/200807/100178.html


これを皮切に、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、日本肺癌学会、日本乳癌学会などが、年次集会に患者さんを受け入れ、また、専用のラウンジなども設置して患者同士の交流を支援してくれるようになったのです。


現在、川上は、日本肺癌学会の毎年の学術集会のPAPで司会進行役を務めさせていただいています。この数年、昨年まではコロナ禍で、オンライン開催が主でしたが、今年は久しぶりに全国から肺がんの患者さんやご家族が、会場の幕張メッセに集まり、同窓会のようでした。患者さんたちが学び、出会い、活動のモチベーションと糧を得る貴重な場になっています。


患者会が企画した、意思決定に関するPAPセッション終了後に、登壇者、有志参加者の方々と撮影した写真

PAPが運命を変えた患者さんもいます。肺がん患者の清水圭佑さんです。PAPに参加したことで標準治療の重要性を理解し、それまで拒否していた抗がん剤治療を受け入れ、その後は治験に参加し、現在ほぼ寛解を得たという経緯です。5年前に、オンコロで取材させていただいた記事をぜひご一読いただきたいと思います。


【肺がん体験談】学術集会の患者・家族向けプログラムが与えてくれたもの
https://oncolo.jp/mystory/human46


本記事が公開されたばかりにお読みいただけた方は、2024年2月に名古屋で開催される日本臨床腫瘍学会の年次集会でもPAPが企画されていますので、ご参加されてみてはいかがでしょうか。申込締切は2024年1月24日ですので、ご関心のある方は、お急ぎください。


第21回日本臨床腫瘍学会学術集会 ペイシェント・アドボケイト・プログラム(PAP)
https://www.congre.co.jp/jsmo2024/pap.html


「知る」、「学ぶ」、「集う」。柳澤がキャンサーネットジャパン時代に作ったスローガンですが、まさに、PAPはそれが叶う場です。



川上


サポーター

患者団体

運営