【疫学】
日本では人口10万人あたり約3人の発症率で全悪性腫瘍の約1%造血器腫瘍の約10%とされます。40歳未満の発症は希でピークは60歳代で発症率・死亡率ともに増加傾向を示しています。

【多発性骨髄腫の特徴】
多発性骨髄腫は血液細胞の1つである形質細胞ががん化して起こります。
がん化した形質細胞は、骨髄中で異常増殖して正常な血液が造られるのを妨げ、造血抑制、骨破壊、免疫機能の低下を起こしたりします。
(形質細胞:Bリンパ球から分化発達したもので 免疫グロブリンを産生します。)

【検査】
血液検査、尿検査、骨髄穿刺、骨髄生検などで多発性骨髄腫と診断されると全身へのがんの広がりなど骨の状態を調べるため、骨のX線検査やCT、MRI、PETなどを実施します。検査の目的は骨髄腫細胞を確認するのみではなくそれによって起こる様々な異常や全身の臓器についての合併症の有無を確認することに有ります。

【病型分類】
多発性骨髄腫は、意義不明のM蛋白血症(MGUS)、無症候性骨髄腫(くすぶり型)、症候性骨髄腫の3つのタイプに分けられます。
意義不明のM蛋白血症と無症候性骨髄腫は、血液中などにM蛋白、骨髄腫細胞がみられるものの症状や臓器障害がない状態です。

1) 意義不明のM蛋白血症、無症候性骨髄腫:骨髄腫と診断されますが症状が殆ど有りません 基本的に経過観察となります。
2) 症候性骨髄腫:多発性骨髄腫の殆どが この病型で治療を要します。
3) その他

【病期(ステージ)分類】
多発性骨髄腫の病期分類(国際病期分類:ISS:International Staging System)

病期 基準
血清β2ミクログロブリン<3.5mg/mL
血清アルブミン≧3.5g/dL
ⅠでもⅢでもないもの≧3.5g/dL
血清β2ミクログロブリン≧3.5mg/mL

国際骨髄腫ワーキンググループの分類で多発性骨髄腫はI~III期に分けられ、正常に近い場合は病期I、進行するにしたがってII期、III期と進みます

【治療方針】
治療の対象となる病期はステージⅡ、ⅢにあたるMタンパクが検出され 骨髄腫細胞が見つかって臓器障害が現れるようになってからとなります。
ステージⅠで見つかった場合でも 定期的に検査を実施し 症候性骨髄腫に移行した時点で治療となります(意義不明のM蛋白血症(MGUS)、無症候性骨髄腫での治療開始を利点は否定されているようです)
近年 多発性骨髄腫の治療法にはめざましい進歩がみられているにもかかわらず 治癒が望めるまで至っておりません。良好な生活の質(QOL:Qolity of Life)を維持しながら 長期の生存を目指す事が目標となります

【治療】
症状の有る多発性骨髄腫、と診断された場合
65歳以下(あくまで目安です)であれば大量化学療法によって無増悪生存期間の延長が臨床試験によって認められおり、寛解導入療法五に自家末梢血幹細胞移植併用下のメルファラン療法が推奨されています。
65歳を超える場合はMPB療法(メルファラン、プレドニン、ボルテゾミブ)が標準療法とされています。
再発、再燃の場合、初回治療効果の持続が1年以上あれば 初回の治療法又はサリドマイド、レナリドミドなどの新規薬剤が導入されており 優れた治療成績が報告されています

【参考】
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入門腫瘍内科学 改訂第2版
造血器腫瘍ガイドライン2013年版


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