【疫学】

肺がんは日本人に2番目に多くみられるがんです。2014年に新たに肺がんと診断された患者は男性90,300程度、女性39,100人程度と予想されています。肺がんは無症状のうちに進行し、他のがんよりも転移しやすいため、治りにくいがんの1つといわれています。2014年に肺がんが原因にお亡くなりになる方は、男性55,000人、女性21,500人程度と予想されており、この数字は日本人の死亡理由の最も多いものとなります。

【肺がんの種類と特徴】

肺がんは発生部位や組織により性質や治療効果が異なります。肺がんは大別すると非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分類されます。非小細胞肺がんは肺の末梢部に発生しやすく、小細胞肺がんは肺の中でも気管支に近い部分に発生しやすい特徴があります。全体的の8割程度は非小細胞肺がんです。非小細胞がんか小細胞がんによって治療方針が異なります。

【検査】

肺がんが疑われる症状(呼吸時のぜーぜー音、息切れ、呼吸困難、声かれ、胸痛、頭痛、吐き気、手足のマヒなど)が認められた場合、喀痰細胞診と胸部X線や胸部CTといったが画像検査を実施します。これらの検査で肺癌が疑われた場合、気管支鏡検査などで組織を採取し、顕微鏡で詳しく観察して、診断を確定します。

【病期(ステージ)分類】

病期(ステージ)とはがんの進み具合を分類したものです。肺がんの場合、『がんのできた場所・大きさ・広がり』、『リンパ節へ転移の広がり』及び『他の臓器に転移しているか』を組み合わせて決定します。

【治療方針】

病期(ステージ)に応じて治療方針が決定します。肺がん治療はバリエーションに富むため、患者さん自身が医師と相談しながら、ときにセカンドオピニオンを利用したうえで、自分自身の状態を理解し、納得したうえでベストな治療を選ぶことが大切です。

■非小細胞肺がん
ステージ1、2場合は可能な限り手術による切除を行います。ステージ1でも初期を除き、術後の薬剤治療を行います。ステージ3は放射線治療と薬剤治療を同時に実施します。ステージ4は薬剤治療が中心となります。
■小細胞肺がん
小細胞肺がんは進行が極めて早いこと特徴です。一方、進行が速いがんは放射線治療や薬剤治療によく反応する性質があり、効きやすいです。ステージ1は手術による切除を行いますが、手術の後に薬剤療法を実施します。ステージ2~3は放射線治療と薬剤治療を同時に実施します。ステージ4は薬剤治療が中心となります。

【手術】

非小細胞肺がんであればステージ1~2、小細胞がんであればステージ1の場合に、がんを切除して取り除くために手術を行います。術後に肺炎、肺塞栓等の合併症を生じるリスクがありますが、対策によりある程度軽減できます。根治が期待できるのであれば手術は第一に考えられる有効な治療です。

【術後補助化学療法】

手術では肉眼的にがんを切除することができても、肉眼ではわからないがんが存在している可能性があります。それらを死滅させるために手術後に薬物治療を行うことがあります。これを術後補助化学療法といいます。

【放射線治療】

放射線のDNAを破壊する力を利用する治療方法です。何らかの理由にて手術ができない初期の肺がんに対して放射線療法単独で根治を目指す他、手術にてがんを完全に取り除くことができないステージ2~3の肺がんの場合に薬物治療と組み合わせて治療効果を高めます。

【薬物治療】

手術や放射線治療では根治不可能と判断された場合は薬物治療が中心となります。治療中は自覚症状、触診、CTなどの検査を定期的に行い、治療効果を判断します。効果がある場合は原則治療を継続します。効果がない場合でも比較的元気であるのであれば、治療法を変更して、2次治療や3次治療を続けることが推奨されています。

【維持(メンテナンス)治療】

通常、薬物治療は4~6サイクル(4~8か月程度)実施すると、がんが増大を認めたり、新たながんが見つかるまで休みます。しかし、最近では「副作用の強い薬剤を休み、副作用の弱い薬物療法を継続」する手法や、「別の薬剤を使用」する手法を用います。これを維持(メンテナンス)治療といいます。

【参考】

上記記載にあたり、キャンサーネットジャパン「もっと知ってほしい肺がんのこと」を参考にしています。より詳細でわかりやすい記載であるため、より多くの情報をご覧になりたい方は以下にアクセスしてください。

NPO法人キャンサーネットジャパン
> 出版物のご紹介:http://www.cancernet.jp/publish

・肺癌診療ガイドライン2012年版(2014年3月現在、肺癌学会HPにて更新されているものを含む)
http://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3


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