【疫学】

大腸がんは日本人に3番目(男性4番目、女性2番目)に多くみられるがんです。2014年に新たに大腸がんと診断された患者は男性90,300人程度、女性39,100人程度と予想されています。高齢化と食生活の欧米化などにより年々増えています。

【発生メカニズム・部位・特徴】

大腸がんの発生メカニズムには「腺腫というタイプの良性のポリープが大きくなる過程でがん化する経路」と「正常な粘膜から直接がんが発生する経路」があります。大腸がんは結腸(小腸側)と直腸(肛門側)に発生するかにより、結腸がんや直腸がんと呼ばれます。大腸がんのうち、約7割は肛門に近
い部位(直腸やS状結腸)に発生します。がんの発生部位が肛門に近い場合は血便・便通異常(下痢・便秘)・腹痛などの症状があらわれますが、肛門から遠い場合は症状があらわれにくい傾向があります。

【検査】

検便での便潜血(血液の便への混入)、便秘や下痢、血便など大腸がんが疑われる場合、肛門から内視鏡を挿入して大腸の中を観察する「大腸カメラ」を行います。結果、がんを疑う病変が見つかった場合、大腸カメラの先端から出した鉗子という道具でその組織を採取して、顕微鏡で詳しく観察して、診断を確定します。診断が確定した場合、CT検査などを行い、大腸がんの広がり調べます。

【病期(ステージ)分類】

病期(ステージ)とはがんの進み具合を分類したものです。大腸がんの場合、『深達度(がん細胞が大腸の壁にどれだけ食い込んでいるかの程度)』、『リンパ節へ転移の広がり』及び『他の臓器に転移しているか(大腸がんの場合、肝臓への転移が多い)』を組み合わせて決定します。

【治療方針】

病期(ステージ)に応じて治療方針が決定します。ステージ0やステージ1の大腸の壁への食い込みが浅いものは内視鏡治療を行います。ステージ1の大腸の壁への食い込みが深いものやステージ2~3のものは手術により取り除きます。ステージ3では術後に薬剤治療を行います。大腸がんの場合はステージ4でもがんが取りきれる場合は手術を行います。がんが取りきれない場合は薬剤治療が中心となりますが、結果、がんが取りきれるまで小さくなった場合、手術を行うこともあります。

【内視鏡治療】

がんが大腸の粘膜内にとどまっている場合や粘膜の下の層の浅い部分までしか進行していないと予想される場合は内視鏡治療にがん組織を取り除きます。大腸の粘膜は痛みを感じる神経がないため、内視鏡治療によるがんの切除によって痛みを感じることはありません。手術と異なり、入院期間が短くて済むのも特徴です。

【手術】

大腸がんが大腸の壁の内部まで進行している場合、手術にて取り除きます。がん組織が存在する大腸部分以外に周辺のリンパ節も取り除く手法が一般的です。結腸(小腸側)を切除しても、栄養の消化・吸収には影響なく、ひどい下痢になることも通常ありません。結腸と同時に周辺のリンパ節を切除した場合も身体の影響はほとんどありません。直腸(肛門側)を切除する場合、がんの発生した部位や広がりの程度によっては肛門を切除しなければならず、人工肛門(ストーマ)を造設します。

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日本オストミー協会:www.joa-net.org/

【術後補助化学療法】

手術では肉眼的にがんを切除することができても、肉眼ではわからないがんが存在している可能性があります。それらを死滅させるために手術後に薬物治療を行うことがあります。これを術後補助化学療法とよびます。大腸がんの場合、ステージ2のうち再発する危険性が高いと思われる方やステージ3の方が対象となります。一般的に、術後1~2か月を目安に開始し、原則6か月、2~3週おきに外来通院で使用します。

【転移・再発を起こした大腸がんの薬剤療法】

転移・再発を起こした大腸がんに対しても、手術でがんを全て取りきることができれば、積極的に手術します。しかしながら、がんを取り切ることが難しい場合は薬剤療法が行われます。大腸がんの薬剤療法はこの10年で飛躍的に進歩しており、がんを小さくして手術で取れるようになる場合もあります。また、完全に治すことができない場合でも、がんが大きくなるスピードを抑えて、患者さんが元気に生活できる期間も長くなってきています。

【放射線治療】

放射線のDNAを破壊する力を利用する治療方法です。大腸がんでは、主に直腸がんに対して、手術前にがんを小さくして人工肛門を回避したり、術後の再発を抑制したりする目的で行われます。

【参考】

上記記載にあたり、キャンサーネットジャパン「もっと知ってほしい大腸がんのこと」を参考にしています。より詳細でわかりやすい記載であるため、より多くの情報をご覧になりたい方は以下にアクセスしてください。

NPO法人キャンサーネットジャパン
> 出版物のご紹介:http://www.cancernet.jp/publish

「大腸がん治療ガイドライン医師用2010年版」を参考にしています。


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