大腸とは
大腸は、1.5-2mほどの長さの臓器で、結腸と直腸に分けられます。大腸は小腸に続いて右下腹部から始まり、右上腹部→左上腹部→左下腹部から肛門に至ります。 大腸は、小腸で消化・吸収しきれなかった腸の内容物から水分を吸収して固形の便にし、肛門から排泄する役割を担っています。
大腸がんの症状
早期大腸がんではほとんど症状はありません。進行すると、下血・血便・便秘・下痢・貧血・しこり・腹痛・腸閉塞などの症状が現れます。
大腸がんの原因
大腸がんの主な原因は、遺伝因子、高脂質・高カロリーな食生活や喫煙、飲酒などの環境因子、潰瘍性大腸炎などの慢性炎症が挙げられます。遺伝が原因でおきる大腸がんは、非遺伝性のものよりも若年で発症する傾向があります。
大腸がんの発生メカニズム
①散発性大腸がん(大腸がんの約70%)腺腫という良性のポリープが悪性化する場合と、正常粘膜から直接がんが発する場合があり、前者の発症パターンの方が多いと考えられています。 いずれも発がんを促進・または抑制する様々ながん関連遺伝子の異常が蓄積することが原因です。(=多段階発がん)
②遺伝性大腸がん(大腸がんの約5%)生まれながらにして持っている遺伝子異常が原因で、血縁者にも多くの大腸がん患者さんが見られます。代表的なものに、リンチ症候群、家族性大腸腺腫症(FAP)が挙げられます。
③家族集積性大腸がん(大腸がんの20-30%)明らかな原因は不明とされていますが、ある家系に大腸がんの異常な集積が認められます。なんらかの遺伝的要因が関与しているとも考えられていますが、はっきりとした因果関係のある遺伝子は特定されていません。
大腸がんの罹患率と生存率
大腸がんの罹患数は、女性では2位男性では3位、総数では1位となっています。年齢別でみると、40歳を超えたあたりから上昇し、中高年に多く発症します。
大腸がんの予後
大腸がんは、完全に切除しても、一定の割合で再発が起こります。(stage I=5.7%、stage Ⅱ=15.0%、stage III=31.8%)再発の約85%は術後3年以内、95%以上は5年以内に発症します。特に肝臓・肺・局所(原発巣周辺、直腸がんに多く見られる)・リンパ節・腹膜に多く見られます。 再発を早期に発見するためには、定期的な検査(サーベイランス)が重要です。サーベイランスの期間や間隔、検査内容は、病期や再発が起こりやすい時期・臓器を考慮して判断されます。