10月7日から10月11日、デンマーク コペンハーゲンにて第40回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)が開催されます。

かねてから、進行非小細胞肺がん治療に関するインパクトをもたらすであろうと噂されていた、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(オプジーボ)とペムブロリズマブ(キイトルーダ)の臨床試験に関する演題が発表されるようです。両者は、同じ抗PD-1抗体であり、異なる点は以下の通りです。

オプジーボとキイトルーダの違い

・1つに、抗体の作り方です。オプジーボはヒト型モノクローナル抗体であり、キイトルーダはヒト化モノクローナル抗体となります。詳しいことは言及しませんが、どちらが優れているということはないと思います。

・2つに、PD-1タンパクとの結合の親和性です。専門的な数値を示すと、オプジーボは2.6nM/Kd、キイトルーダは29pM/Kdとなります。この数字は低ければ親和性が高い。すなわち、キイトルーダの方がPD-1と結合しやすいってことになります。ただ、親和性が高いから効果が良いとは一概には言えません。

・3つに、投与間隔・投与期間です。投与間隔について、オプジーボは2週に1回。キイトルーダは3週に1回です。投与期間について、オプジーボは、今の所、効果があるときのやめ時がわかっていません。キイトルーダは臨床試験自体が、最長でも投与期間2年間としているものが多いようです。

・4つに、キイトルーダは、PD-1タンパクの発現レベルが高い方を対象にしている臨床試験が多い一方、オプジーボはオールカマー(PD-1タンパク発現レベルによらず)で臨床試験を実施しているものが多いようです。最近、そうでもなくなっている気もしますが・・・

Checmate026試験(オプジーボ)とKeynote024試験(キイトルーダ)

さて、先に述べた注目演題は、非小細胞肺がんの初回治療について、「オプジーボVS標準療法」や「キイトルーダVS標準療法」を使用した時の最新データが発表されます。2つの試験の違いとしては、オプジーボの試験(Checkmate026)はPD-L1が1%以上発現する患者であり、キイトルーダ(Keynote024)の治験はPD-L1の試験は50%以上発現している患者となりました。(ただし、発現量を測定するキットは異なります)

両試験の結果は、オプジーボは有意性を示せず、キイトルーダは有意性を示せたということです。

衝撃な結果 非小細胞肺がん初回治療においてオプジーボが無増悪生存期間延長示せず(オンコロニュース20160806)

非小細胞肺がん 免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブ(キイトルーダ) 初回治療として生存期間を延長(オンコロニュース20160617)

上記については詳細なデータは開示されておらず、ESMO2016で以下のように発表されます。

2016年10月9日 5:35-5:50pm(現地時間)
(Abstract #LBA7_PR)
CheckMate -026: Phase 3 trial of Opdivo versus investigator’s choice of platinum-based doublet chemotherapy as first-line therapy for stage IV/recurrent PD-L1 positive non-small cell lung cancer.
→意訳:Checkmate026:ステージ4/再発のPD-L1陽性の非小細胞肺がんの一次治療として、オプジーボと治験担当医が選んだプラチナ製剤併用療法の第3相臨床試験

2016年10月9日 4:25–6:20pm(現地時間)
(Abstract #LBA8_PR)
KEYNOTE-024: Pembrolizumab (pembro) vs platinum-based chemotherapy (chemo) as first-line therapy for advanced NSCLC with a PD-L1 tumor proportion score (TPS) ≥ 50%.
→意訳:Keynote024:PD-L1発現50%以上の進行非小細胞肺がんの一次治療として、ペムブロリズマブ VS プラチナベース化学療法

個人としてCheckmate026試験のサブ解析(PD-L1高発現だけのデータ)や生存に関するデータ等の発表や、有効中止したほどのキイトルーダの圧倒的パフォーマンス(だと予想している)が気になるところですが、発表されましたらオンコロでも掲載する予定です。

なお、米Bristol-Myers Squibb社と米Merck社のホームページ上には、ESMO2016で発表されるオプジーボとキイトルーダの演題が掲載されています。
オプジーボは膀胱がん、大腸がん、膠芽腫、頭頸部がん、肝細胞がん、肺がん、悪性黒色腫及び腎細胞がんの演題が、キイトルーダは肺がん、膀胱がん、悪性黒色腫(キイトルーダは、他にも多々あると思います)の演題が発表されるとのことです。

米Bristol-Myers Squibb社のプレスリリースはコチラ(英語)

米Merck社のプレスリリースはコチラ(英語)

記事:可知 健太


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