多発性骨髄腫の新治療CAR-T免疫療法LCAR-B38Mについて
不治の病と呼ばれた多発性骨髄腫ですが、この病気が治る日が来るのも近いかもしれません。なぜなら、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的するCAR-T免疫療法である LCAR-B38M が多発性骨髄腫の治療方法として開発される可能性があるからです。CAR-T免疫療法とは自己免疫療法の一種です。 患者自身の体から癌細胞を攻撃するT細胞を体外に一度取り出し、キメラ抗原受容体(CAR)をそのT細胞に発現させて再び体内に戻すことで、T細胞が癌細胞を認識し、攻撃する効果を高める治療法です。 CAR-T免疫療法は白血病などの病気で研究が進んでいましたが、その標的は多発性骨髄腫と違うために応用ができませんでした。 しかし、LCAR-B38Mは多発性骨髄腫に発現するB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするため、その効果は既存の治療方法と一線を画します。 今年のASCO2017で発表された研究報告によれば、再発難治生多発性骨髄腫患者35人に対してLCAR-B38M治療を開始したところ、その内33人が臨床的に効果があると判断できるVGPR(奏効率)以上を治療開始してから2ヶ月以内に達成したのです。 効果も去ることながら、LCAR-B38Mのその効果発現までの早さに世界中の血液内科医が度肝を抜かれたのです。再発難治生の多発性骨髄腫患者に対してこの効果ですから、新規の多発性骨髄腫患者に対する効果はどうなるのでしょうか?今後に期待です。LCAR-B38Mの薬剤概要
製品名
未定一般名
LCAR-B38M用法用量
未定効能効果
未定(再発難治性の多発性骨髄腫)主な副作用
未定(サイトカイン放出症候群)製造承認日
未定LCAR-B38Mの作用機序
LCAR-B38MはB細胞成熟抗原(BCMA)を標的するCAR-T免疫療法です。CAR-T免疫療法は患者自身の血液からT細胞を取り出して、遺伝子を組み換えたキメラ抗原受容体(CAR)をT細胞に発現させ、再び患者自身の体内に戻すことでT細胞が腫瘍細胞を認識し、標的とすることで抗腫瘍効果を発揮します。LCAR-B38Mの関連文献
1)Chimeric antigen receptor-modified T cells for acute lymphoid leukemia.
文献の概要
CD19およびCD20陽性のCLL(慢性リンパ性白血病)およびB細胞リンパ腫患者に対してCAR-T免疫療法が有効であると報告されています。本研究では、再発難治性CD19陽性のALL(急性リンパ性白血病)患者に対してCAR-T免疫療法を実施した症例報告です。文献の出典
New England Journal of Medicine文献の発刊日
2013年3月25日LCAR-B38Mの口コミ
医師のコメント
世界的に言うと、免疫細胞療法で最も期待されているのは、キメラ抗原受容体(CAR)を用いた遺伝子改変T細胞療法です。急性白血病で研究がすすんでいます。固形がんでも一部研究されています。これらの研究は、全て治験として行われ、無償です。 https://t.co/Uj33KhuElt
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2016年12月14日
Most Patients w Multiple Myeloma Achieved Clinical Remission w/ BCMA CAR T-Cell #ASCO17 #tcellrx #mmsm https://t.co/EXWEPSCeBk via @onclive
— Miguel Perales M.D. (@DrMiguelPerales) 2017年6月5日
その他医療関係者のコメント
BCMA-Specific CAR T-Cell Therapy Sends Relapsed/Refractory Multiple Myeloma Into Lasting Remission https://t.co/nXW6eVqaV7 #MMSM #ASCO17
— The ASCO Post (@ASCOPost) 2017年6月5日
CAR-T results in multiple myeloma https://t.co/F9Y7uFM8oL
— Multiple Myeloma RF (@theMMRF) 2017年6月5日