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World ADC 2023 - 葉酸受容体を標的とすることで、灰塵から這い上がる

[公開日] 2023.03.24[最終更新日] 2023.03.24

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

米Zymeworks社、米Profoundbio社、米Elucida社、米Immunogen社は、Elahere(一般名:ミルベツキシマブ ソラブタンシン)の成功を受けて、より優れた抗体-薬物複合体の開発に取り組んでいる。 医薬品開発のアイデアは生まれては消えていくが、葉酸受容体α(FRα)に匹敵するほど無名から成功を収めたがん領域の標的はほとんどない。Immunogen社のElahereが承認され、米ブリストル・マイヤーズスクイブ社が同様の開発資産に対して日エーザイ社に6億5千万ドルの契約金を支払ったこともあって、業界のパイプラインには、このメカニズムの臨床プロジェクトがいくつも登場するようになった。 多くの企業が標的であるFRαだけでなく、それを狙う方法にも注目しているようだ。Elahereの手法である抗体薬物複合体(ADC)は、数多く存在する。しかし、Elahereは完璧とは言い難く、眼毒性が普及の妨げになっているようだ。今週ロンドンで開催されたworld ADC conferenceでは、より良いElahereを開発しようとする多くの企業の意見があった。 その中でも特に強調すべきは、Immunogen社自身のものだ。Immunogen社の臨床開発担当ディレクターであるOlga Ab氏は、Elahereの後続品であるIMGN151の第1相試験で、1月に最初の患者に投与されたと学会で発表した。 IMGN151は、2つの異なるFRαエピトープに結合し、次世代ペイロードと新規リンカーを有している。IMGN151は、半減期が長く、ペイロードの送達が向上し、曝露量が増加する。前臨床データでは、FRαに対するElahereの親和性が2倍になることが示唆されており、その結果、殺細胞活性が向上すると、Ab氏は述べている。 ADCの流行語 「バイスタンダー活性」は、World ADCで最も頻繁に言及された言葉のひとつであり、この現象は、ADCが標的細胞だけでなく、その周辺にいる細胞も、目的の抗原があるかどうかに関係なくヒットさせる能力を意味する。英アストラゼネカ社/日第一三共社が、Her2レベルがほとんどない患者でもエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン)が効くと言う理由はこれである。 最近、ZW191と名付けられたFRαを標的とした新規ADCを発表した米Zymeworks社も、この会議で同じようなことを主張した。これは新規抗体と新規リンカーに基づくもので、バイスタンダー活性により、FRα発現量の低いがんをターゲットにすることができるはずである。来年にはIND(臨床試験実施申請資料)申請が予定されている。 すべての講演者が自信をもってFRαを「有効なターゲット」と呼び、Elahereがそれを検証した薬であることは明らかである。それ以前のFRαは、2014年に米Endocyte社のvintafolideが頓挫したことで、その存在を抹殺された。 2021年、ブリストル社はエーザイ社のADC MORAb-202(現在はfarletuzumab ecteribulinとして知られる)に対して6億5000万ドルという破格の金額でライセンスを取得し、大手製薬会社がFRαをいかに重要視しているかを示すことになった。この資産は、来月のAACR会議で臨床演題として発表される予定です。この演題には、別のADCであるアストラゼネカ社の未発表のAZD5335の前臨床データも含まれる予定だ。 一部の バイオテクノロジー分野の投資家は、米Sutro社も注視している。Sutro社は、主力製品である抗FRαADC luveltamab tazevibulinがElahereに比べて2倍の卵巣がん患者に有効だと主張している。なお、米国の早期承認ではElahereは卵巣がんにおいて FRα陽性患者に限定された。 luveltamab tazevibulinの販売戦略は迅速承認であり、Sutro社は今四半期中に臨床試験を開始する予定である。しかしこの戦略は、必要なPFSイベント数を達成し5月に発表される予定であるElahereの実証試験(Mirasol試験)に決定的に依存している。この結果、Elahereが完全に承認されれば、luveltamab tazevibulinのための迅速承認のプロセスは終了すると思われる。 World ADCは時宜を得たものであったが、それはFRαの再来だけでなく、月曜日(3月13日)に行われた430億ドル規模のファイザーによるSeagen社の買収によって、ADCが再び注目されたためである。 そして、FRαを標的としたADCである PRO1184の「最高クラスの可能性」を主張したのは、元Seagen社の社員が設立したシアトルの非公開バイオベンチャー、Profoundbio社である。このADCは、毒性を低減し治療域を広げるために新規のリンカーを使用し、薬物対抗体の比率を8とすることで、体内へのペイロードの送達を増加させることができる。 Profoundbio社の最高執行責任者であるTae Han氏は、最近米国と中国の病院で開始された全例を対象とした試験が、Asco(米国臨床腫瘍学会)の「進行中の試験」のセッションの演題に取り上げられるかもしれないと、World ADCで語った。 別の民間バイオテクノロジー企業であるElucida Oncology社の最高科学責任者、Gregory Adams氏も同様の主張をしている。Elucida社のELU001は、同社のC'dot技術を用いたADCで、従来のADCに比べて最大10倍の標的部位と最大10倍のペイロードを持つ「超小型」構造体を作り出すものである。 PRO1184と同様に、ELU001は毒性が低く、小児AML(急性骨髄性白血病)や脳腫瘍など、通常FRαが高発現しているとは考えられていないがんをターゲットとしている。Adams氏は、「第1相試験において、14名のFRα低発現の子宮内膜がん患者のうち、1名の部分奏効が確認された」と述べ、「データはEsmo(欧州臨床腫瘍学会)で公表できる」と述べた。 Elahereの眼毒性が警告されていることから、忍容性向上の可能性は現実的な問題であるが、別のWorld ADCセッションでImmunogen社のMichael Method氏は、ステロイド目薬で軽減できる可能性が高まっていると述べた。とはいえ、「私たちがIMGN151で試みているように、他の企業がElahereを改良できることを望んでいます」とも同氏は述べている。 この記事の表は更新されました。

■出典
world-adc-2023-targeting-folate-receptor-rises-ashes

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