未治療多発性骨髄腫患者に対する最強レジメンVRd療法(ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン)、Rd療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善する


  • [公開日]2017.02.13
  • [最終更新日]2018.11.04

2016年12月22日、医学誌『The Lancet』にて未治療多発性骨髄腫患者に対するプロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)+免疫調節薬(iMids)であるレナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)+デキサメタゾン併用療法有効性を比較検証した第III相のSWOG S0777試験(NCT00644228)の結果がCedars-Sinai Samuel Oschin Cancer Center・Brian G M Durie氏らにより公表された。

SWOG S0777試験とは、未治療多発性骨髄腫患者に対して21日を1サイクルとして1、4、8、11日目にベルケイド1.3mg/m2+1~14日目に1日1回レブラミド25mg+1、2、4、5、8、9、11、12日目に1日1回デキサメタゾン20mg併用療法を投与する群(N=264人,VRd群)、または28日1を1サイクルとして1~21日目に1日1回レブラミド25mg+1、8、15、22日目に1日1回デキサメタゾン40mg併用療法を投与する群(N=261人,Rd群)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、客観的奏効率ORR)を比較検証したオープンラベル無作為化の第III試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢65歳以上の患者割合はVRd群38%(N=93人)に対してRd群48%(N=109人)。性別女性の患者割合はVRd群37%(N=89人)に対してRd群47%(N=107人)。ECOG Performance Status スコア1より大きい患者割合はVRd群12%(N=28人)に対してRd群16%(N=36人)。

進行病期はISSステージIIIの患者割合はVRd群32%(N=78人)に対してRd群34%(N=79人)。移植適応の患者割合はVRd群69%(N=168人)に対してRd群68%(N=156人)。以上のように両群間で患者背景に大きな偏りはなかった。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はVRd群43ヶ月に対してRd群30ヶ月、VRd群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に28.8%減少(HR:0.712,96%信頼区間:0.56-0.906,P=0.0018)した。

副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はVRd群75ヶ月に対してRd群64ヶ月、VRd群で死亡(OS)のリスクを統計学有意に29.1%減少(HR:0.709,96%信頼区間:0.524-0.959,P=0.025)した。客観的奏効率(ORR)はVRd群82%に対してRd群72%、その内完全奏効(CR)を達成した割合はVRd群16%に対してRd群8%を示した。

一方の安全性として、両群で最も多くの患者で確認されたグレード3以上の血液関連の治療関連有害事象(TRAE)は貧血、リンパ球減少症好中球減少症、血小板減少性。グレード3以上の非血液関連の治療関連有害事象(TRAE)は倦怠感、感覚ニューロパチー、高血糖、血栓症または塞栓症、低カリウム血症、筋力低下、下痢、脱水。なお予測通り、神経関連の治療関連有害事象(TRAE)発症率はVRd群33%に対してRd群11%、VRd群で高率であった。

以上のSWOG S0777試験の結果よりBrian G M Durie氏らは以下のように結論を述べている”未治療多発性骨髄腫患者に対するVRd療法はRd療法に比べて、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学有意に延長をしました。”

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