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スプリングワークス社はオンコロジー領域での成功をより大きなものへの序章としたいと考えているEvaluate Vantage(2021.10.06)より


  • [公開日]2021.10.26
  • [最終更新日]2021.10.26

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

若いバイオテック企業は、最初の極めて重要な成功をもたらすのに好位置にいるが、投資家は他のことに注目しているかもしれない。

米スプリングワークス社は4年前に米ファイザー社が放棄したいくつかのアセットを引き継ぐために設立されたが、すでに最初の承認薬を得ることができる重要なリードアウトを迎えている。γセクレターゼ阻害剤であるnirogacestat(ニロガセスタット)は、年末までにデスモイド腫瘍を対象とする第3相試験でデータ取得に至る予定だ。

投資家は、スプリングワークス社の戦略と、2019年のIPO時の約束を守ったことを評価したようだ。しかし、デスモイド腫瘍は未開拓とはいえ比較的小さな市場であり、nirogacestatの知的財産権の状況も考慮すべきで、実際、本命は他にあるのかもしれない。

IP(知的財産権)に関しては、米国の組成物特許は4年で切れる。スプリングワークス社は2039年までの使用特許を引用しているが、特許の延長がない場合でも、nirogacestatが承認された際には、7年間のデータ独占権は確実に保持し上市されることになるだろう。もちろん、スプリングワークス社が採用する前に、このアセットはファイザー社が所有していたとことを考えれば、予想外のことではない。

γセクレターゼは膜結合型のタンパク質であり、最も顕著なアルツハイマー病の発症への関与は数年前に開発の見通しが立たなくなっていたが、その機能は最近解明されたばかりである。

サポートデータ

スプリングワークス社はオンコロジー領域に重点を置いており、nirogacestatはデスモイド腫瘍に対して有効性を示している。ファイザー社が実施した第1相試験、当時PF-03084014として知られていたこのプロジェクトでは、7人の患者のうち5人で客観的奏効が認められ、治療期間の中央値は49.5カ月を示した。

その後、NCI(米国国立がん研究所)が複数の前治療を受けた人々を対象に実施した第2相試験では、29%のORR(客観的奏効率)が得られた。スプリングワークス社が上場したとき、同社はすでに登録制の第3相試験であるDeFi(Desmoid/Fibromatosis)試験を開始していた。2021年半ばから後半にトップラインデータが得られることになっており、このスケジュールは厳守されている。現在、同社は約30億ドルの価値があり、上場時より220%も高い水準で取引されている。

DeFi試験は、治療歴のない、または1つ以上の治療に失敗したデスモイド腫瘍の患者142人を登録し、盲検下でnirogacestatとプラセボを比較している。主な指標は無増悪生存期間PFS)だ。

これは、デスモイド腫瘍の進行が非常に遅く、全生存期間OS)のリードアウトに到達するのに時間がかかりすぎるためであり、副次的評価項目の上位にOSは含まれていない。この希少な軟部組織腫瘍は、侵攻性線維腫症としても知られており、米国での推定発生率は1,000~1,500人であるとスプリングワークス社は述べている。

科学的には、γセクレターゼを結合させることで、がんの発生に関与するシグナル伝達を行うNotch受容体の活性化を阻害すると考えられている。nirogacestatがDeFi試験で評価されれば、米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)社は注目するだろう。同社のγセクレターゼ阻害剤であるcrenigacestat(クレニガセスタット)は、がんを対象に第1相試験が行われている。

本命は?

しかし、デスモイド腫瘍は本命ではない。γセクレターゼの別の機能として、Blenrep(ブレンレップ)やCar-T療法など多発性骨髄腫治療薬の標的となる形質細胞上のタンパク質であるBCMA(B細胞成熟抗原)を切断することがある。γセクレターゼを阻害すれば、BCMAの切断が抑えられ、この治療標的を維持できると考えられている。

そこでスプリングワークス社は、英グラクソ・スミスクライン社(同社も出資社)、米シーゲン社、米J&J社、米ファイザー社、米Allogene社、米プレシジョン・バイオサイエンシズ社と臨床試験の提携を行い、nirogacestatをこれらのグループのBCMA標的治療薬と組み合わせて研究している。

同様に、BMS社がcrenigacestatに関与しているのは、細胞治療を手掛けていた旧・米Juno Therapeutics社(現BMS社)が米イーライリリー社と締結した契約に基づくものであり、プロジェクトの1つであるKarmma-7試験では、Car-T療法であるAbecma(一般名:idecabtagene vicleucel)との併用が行われている。

おそらく、DeFi試験の最も重要な役割は、nirogacestatを市場に投入することだ。そうすれば、BCMAプレーヤーの誰かが次の手を打つことができる。

■出典
Springworks seeks cancer win as a prelude to something bigger

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