乳癌の新薬リボシクリブの治験を受ける前に知っておきたい7つのこと


  • [公開日]2017.03.16
  • [最終更新日]2017.09.30

乳癌の新薬リボシクリブについて

進行乳癌患者の約70%はホルモン受容体が陽性を示しているため、ゾラデックス、リュープリンなどの内分泌療法に効果を示します。しかし、中には内分泌療法に効果を示さなかったり、又は一度は効果を示したものの、時間の経過とともに病勢が進行してしまう可能性があります。

内分泌療法に効果を示さない原因の1つとして蛋白質複合体であるサイクリンDの存在が考えられています。サイクリンDは乳癌患者50%以上に発現することが確認されており、サイクリンDが過剰発現する患者の大半はエストロゲン受容体陽性であることが判っています。

サイクリンDはサイクリン依存性キナーゼ4と6(CDK4/6)と相互に直接作用し、活性化された蛋白質複合体となります。そして、細胞周期を促進させることで細胞増殖、腫瘍増殖をさせる働きをしています。

以上のことから、ホルモン受容体陽性の進行再発乳癌患者に対してはサイクリンDを標的とする新薬が有効であると考えられ、そこで開発されましたのが、サイクリン依存性キナーゼ4および6阻害剤である

リボシクリブ

です。リボシクリブは抗エストロゲン剤であるレトロゾールとの併用療法で未治療のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌患者に対して有効な治療方法であることが証明されました。

リボシクリブの薬剤概要

製品名

Kisqali

一般名

リボシクリブ(ribociclib)

用法用量

未定(リボシクリブとして600mgを1日1回21日間連続投与した後、7日間休薬する)

効能効果

未定(ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌)

主な副作用

未定(白血球減少、リンパ球減少症、発熱性好中球減少症、高血圧、アラニンアミノトランスフェラーゼレベルの増加など)

製造承認日

未定

リボシクリブの作用機序

リボシクリブはサイクリン依存性キナーゼであるCDK4およびCDK6を特異的に阻害することで癌細胞が増殖するのを制御します。乳癌の癌細胞ではCDK4が癌抑制遺伝子のRbのリン酸化、細胞増殖、腫瘍増殖を促進することが示されておりますので、リボシクリブによるCDK4およびCDK6を特異的に阻害することでRbのリン酸化が減少し、細胞周期停止します。

リボシクリブの最新情報

1)Ribociclib as First-Line Therapy for HR-Positive, Advanced Breast Cancer

概要

閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌患者の一次治療として、リボシクリブとレトロゾールの併用療法、又はレトロゾール単剤療法を投与し、PFS(無増悪生存期間)を比較検証した第三相試験。結果は、レトロゾール単剤療法と比較してリボシクリブ併用療法はPFS(無増悪生存期間)を有意に延長することがわかりました。

出典

The New England Journal of Medicine

配信日

2016年11月3日

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リボシクリブの治験情報

1)A Phase Ib Dose Escalation Study of the Combination of LEE011 With Letrozole and Dose Expansion of LEE011 With Hormonal Therapy for the Treatment of Pre-(With Goserelin) and Postmenopausal Women With Hormone Receptor Positive, HER2-negative, Advanced Breast Cancer

治験の概要

閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌患者に対してリボシクリブ+レトロゾール併用療法、又はリボシクリブ+レトロゾール+フルベストランもしくはゴセレリン併用療法を投与し、最適用量を検証する治験

治験の期限

2019年4月12日

参照
1)ノバルティスファーマ社プレスリリース
2)患者さんのための乳がん診療ガイドライン

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