膀胱癌の新薬ラムシルマブの治験を受ける前に知っておきたい7つのこと


  • [公開日]2016.12.31
  • [最終更新日]2019.02.22

膀胱がんの新薬ラムシルマブ(サイラムザ)とは

ボクシングの世界チャンピオンである竹原慎二も罹患した膀胱がん。膀胱がんは膀胱の尿路上皮(移行上皮)粘膜より発生するがんで、その膀胱がんの約90%を占めると言われています。罹患者が多いにも関わらず、尿路上皮がんの治療はここ10年近く変わっていないのですが、

ラムシルマブ

の登場で変わるかもしれません。この疾患における新薬としては17年ぶりにアメリカで承認された抗PD-L1治療薬デュルバルマブが注目を浴びておりますが、ラムシルマブも注目度では負けておりません。

ステージ4膀胱がんの標準化学療法としては、ゴールデンスタンダードであるプラチナ製剤を含むM-VAC療法(メトトレキサート、ビンブラスチン、アドリアマイシンシスプラチン)、もしくはGC療法(ゲムシタビン、シスプラチン)ですが、これら抗がん剤レジメンの治療成績を上回るレジメンの開発が進行しております。

例えば、GC療法療法にパクリタキセルを加えたPCG療法でしたり、HER2/neuを過剰発現した膀胱がん患者に対してトラスツズマブとパクリタキセルの併用療法です。

現在のところ、これら治療方法がゴールデンスタンダードのレジメンを上回る報告はありませんが、より多くの抗がん剤、分子標的治療薬を組み合わせることが治療成績の向上として期待されているので、多種多様な抗がん剤、分子標的治療薬との併用ができ、かつ他剤と比較して副作用が少ないラムシルマブなだけにその期待は大きいのです。

ラムシルマブ(サイラムザ)の薬剤概要

製品名

サイラムザ

一般名

ラムシルマブ(ramucirumab)

用法用量

未定

効能効果

未定(切除不能な進行・再発の尿路上皮がん)

主な副作用

未定( 好中球減少症、疲労、発熱性好中球減少症、貧血)

製造承認日

2015年6月(治癒切除不能な進行・再発の胃がん)

ラムシルマブ(サイラムザ)の作用機序

ラムシルマブ

ロハス・メディカル

ラムシルマブはヒトVEGFR-2に対する特異的抗体であり、VEGFリガンド(VEGF-A、VEGF-C、VEGF-D)のVEGFR-2への結合を阻害することで、VEGFR-2の活性化を阻害し、内皮細胞の増殖、遊走及び生存を阻害し、腫瘍血管新生を阻害します。

ラムシルマブ(サイラムザ)の最新文献

・2016年5月
1)Docetaxel As Monotherapy or Combined With Ramucirumab or Icrucumab in Second-Line Treatment for Locally Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma: An Open-Label, Three-Arm, Randomized Controlled Phase II Trial
プラチナベースの化学療法治療に難治性を示した、もしくは治療後12ヶ月以内に再発した尿路上皮がんの患者さんの二次治療として、ドセタキセル単剤療法、またはラムシルマブとドセタキセルの併用療法、またはイクルクマブとドセタキセルの併用療法を実施し、PFS(無増悪生存期間)を検証した試験。

ラムシルマブ(サイラムザ)の口コミ

医師のコメント

その他医療関係者のコメント

ラムシルマブ(サイラムザ)の治験情報

1)A Study of Ramucirumab (LY3009806) Plus Docetaxel in Participants With Urothelial Cancer

治験の概要

プラチナベースの化学療法治療後に再発難治性を示した尿路上皮がんの患者さんに対して、ラムシルマブとドセタキセルの併用療法、またはプラセボとドセタキセルの併用療法を実施しPFS(無増悪生存期間)を検証する治験

治験の期限

2019年3月

参考資料

1)イーライリリープレスリリース
2)膀胱がん診療ガイドライン〈2015年版〉


膀胱がん診療ガイドライン〈2015年版〉

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