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アストラゼネカ社のCar-T療法への取り組みが幕を開ける

[公開日] 2022.11.25[最終更新日] 2022.11.25

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

英アストラゼネカ社の細胞治療への着実な動きは、新規のがん標的を生み出し、同社がまもなく臨床試験を開始する可能性を示唆している。 アストラゼネカ社は、大手製薬会社の中で唯一細胞治療に出遅れていた会社ではないが、その研究の霧は徐々に晴れてきている。EvaluateのVantageチームが入手した情報によると、アストラゼネカ社にとって初の臨床段階にあるCar-T療法はAZD0754であり、Steap2抗原を標的とすることが明らかにされている。 AZD0754が同種移植のCar-T療法であるかどうかはまだ不明だが、固形がんという注目すべきほぼ未開拓の領域に参入する可能性は高い。Steap2は、前立腺がんで過剰発現している抗原である。そして、多くの企業がすでに研究されている標的を追い求める一方で、Steap2に対する他の企業プロジェクトが臨床段階にないことから、アストラゼネカ社は真の新規性を目指している。 実際、Steap2に対するモノクローナル抗体(MAbs)、抗体薬物複合体(ADC)、二重特異性抗体(Bispecifics)の特許出願によれば、Steap2に取り組んでいる企業は米リジェネロン社だけかもしれない。おそらくこの特許は、米メディミューン社 (現:アストラゼネカ社のバイオ医薬品研究開発部門)を引用している。 遡ること2016年、リジェネロン社とメディミューン社は抗がん剤ADCの開発で契約を交わしている。 AZD0754 現在、アストラゼネカ社の初期オンコロジー臨床試験プログラムに関わる詳細な内部文書から、Steap2に対するCar-T療法AZD0754の存在が明らかにされている。 このプロジェクトの状況、使用目的、臨床試験計画に関するVantageチームの質問に対し、取材時点で同社は回答を控えている。現在、AZD0754はclinicaltrials.govに登録されておらず、いつヒト試験に入るかは不明だが、臨床プログラムのリストに掲載されているということは、臨床試験実施がそう遠くない可能性を示唆している。 アストラゼネカ社は、スイスのロシュ社と同様に、長い間抗体薬などに焦点を当て、細胞治療への大きな進出を避けてきたがん分野の大手製薬会社であった。そして、2015年にイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)と米ジュノ・セラピューティクス社(現:米ブリストル・マイヤーズスクイブ社の傘下)のCar-T療法を組み合わせた臨床共同研究を行った以外、アストラゼネカ社は、進捗状況についてほとんど公言していない。 しかし、水面下での動きは最近活発化し、8月には米専門誌Fierce Biotechが同種移植療法と固形がんに焦点を当てていると報じている。米Linkedinの投稿によると、アストラゼネカ社の細胞治療部門が始動し、研究リーダーが配置され、採用活動が開始されたとのことである。 ロシュ社もまた、既成の治療法に焦点を当ててきたアストラゼネカ社と同様に、従来の消極的な姿勢から徐々に脱却し、今年(2022年)になって英アダプティミューン社や米ポセイダ社と細胞治療の契約を締結した。このような動きは英GSK社とは対照的で、GSKは米ライエル社、アダプティミューン社、独イマティクス社との共同研究を短期間で終了させ、細胞治療から撤退したようである。 Steap2 前立腺がんでは、Steap2(six-transmembrane epithelial antigen of the prostate-2)の発現が増強されており、このタンパク質ががんの進行を促進している可能性が示唆されている。 関連抗原であるSteap1は、米アムジェン社のAMG509を筆頭に、いくつかの臨床プロジェクトの標的となっている。Steap2に対する臨床研究は行われていないが、AZD0754はこの状況をじきに変えるかもしれない。

■出典
cancer-vaccines-enter-neoantigen-stage

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