免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ(ペムブロリズマブ)がPD-L1の発現率に関係なく非小細胞肺がんの一次治療として推奨される


  • [公開日]2017.05.14
  • [最終更新日]2019.02.22[タグの追加] 2017/11/13

2017年5月20日、FDAEGFR遺伝子変異、ALK変異が陰性の進行再発非小細胞肺がんにおける一次治療としてキイトルーダペムブロリズマブ)+カルボプラチンアリムタペメトレキセド併用療法を承認しました。

以前よりキイトルーダ(ペムブロリズマブ)は再発非小細胞肺がんにおける一次治療として承認されておりましたが、その承認条件はキイトルーダ(ペムブロリズマブ)単剤で、かつPD-L1の発現率50%以上の患者さんに限られておりました。

しかし、非小細胞肺がん患者さんの内PD-L1発現率50%以上の患者さんは数%と少数でしたので、PD-L1の発現率に関係なく再発非小細胞肺がんにおける一次治療としてキイトルーダ(ペムブロリズマブ)が承認されたことは治療貢献性が非常に高いです。この度の承認は、2016年11月にLancet Oncologyに掲載されましたオープンラベルフェーズⅡ試験(KEYNOTE-021)に基づくものです。

Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study – The Lancet Oncology

KEYNOTE-021試験は、EGFR遺伝子変異、ALK変異が陰性のIIIBまたはIVの非扁平上皮非小細胞肺がん患者さん123人に対して、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)+カルボプラチン+アリムタ(ペメトレキセド)を3週ごとに4サイクル投与し、その後24ヶ月間キイトルーダ(ペムブロリズマブ)で維持療法する群と、カルボプラチン+アリムタ(ペメトレキセド)4サイクル後にアリムタ(ペメトレキセド)維持療法する群に分けて、その有効性奏効率)を検証した試験です。

この試験の結果、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)を投与する群は、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)を投与しない群に比べて2倍の奏効率を示すことが判りました。この結果は2016年10月に開催されておりました世界の著名なオンコロジストが集まるESMO(欧州臨床腫瘍学会)でも話題になり、進行再発非小細胞肺がんにおける一次治療としてキイトルーダ(ペムブロリズマブ)+カルボプラチン+アリムタ(ペメトレキセド)併用療法の承認が待ち望まれておりました。

待望の効能追加であっただけに、非常に嬉しく思います。なお、今回の承認は第二相試験に基づくものでしたので、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の効果の再現性を確固たるものとするため、下記第三相試験が進行中でございます。

Study of Platinum+Pemetrexed Chemotherapy With or Without Pembrolizumab (MK-3475) in Participants With First Line Metastatic Non-squamous Non-small Cell Lung Cancer (MK-3475-189/KEYNOTE-189) – Full Text View – ClinicalTrials.gov

第三相試験では第二相試験とは違い、主要評価項目を奏効率(ORR)から無増悪生存率(PFS)へと変更し、対象となる患者さんの数も570名と5倍弱の規模となっております。この試験の結果は2019年3月以降に公表される予定ですので、乞うご期待ください。

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