結論から申し上げますと、違います。ベクティビックス(パニツムマブ)の治療効果は右側では悪く、左側では良いです。

ここでいう、右側とは盲腸から横行結腸のことで、左側とは脾臓編曲から直腸までの腫瘍部位であると定義しております。

最近、ベクティビックス(パニツムマブ)をはじめアービタックス(セツキシマブ)など、抗EGFR抗体薬の効果が右側と左側で違うのか?と議論されておりますが、議論に入る前に腫瘍部位の定義をされることをオススメします。

なぜなら、腫瘍部位の定義の違いにより、抗EGFR抗体薬のその効果に違いが出る可能性が大いにあるからです。

また、腫瘍部位の定義以外にも、遺伝子変異の割合についても確認されることをオススメします。ここでいう遺伝子変異とはRAS遺伝子変異ではなく、BRAF遺伝子変異のことを意味します。

保険適応されているRAS遺伝子変異ではなく、なぜBRAF遺伝子変異なのか?と申しますと、保険適応されていないために臨床で応用できないからです。

臨床で応用できないなら無視してもいいのでは?と思った方、それは違います。なぜなら、BRAF遺伝子変異の検査こそ、この腫瘍部位で代替できるからです。

もちろん、精度は生検を利用した遺伝子変異よりかは劣りますが、大腸癌が発生している腫瘍部位を診ることで、BRAF遺伝子変異が陽性か?陰性か?の予測ができます。

例えば、ベクティビックス(パニツムマブ)の治療効果は右と左で違うのか?を検証した下記文献でPRIME試験(RAS野生型StageⅣ大腸癌患者さんに対して一次治療にFOLFOX+Pmab併用療法を投与した大規模試験)の患者さんのBRAF遺伝子変異割合を検証したところ、BRAF遺伝子変異陽性は右側が33%であるのに対して、左側が5%という結果でした。

Primary tumor sidedness has an impact on prognosis and treatment outcome in metastatic colorectal cancer: results from two randomized first-line panitumumab studies

つまり、この試験結果から判ったことは、ベクティビックス(パニツムマブ)が左側に効果があるのではなく、右側に効果がないという可能性があります。既にBRAF遺伝子変異陽性は抗EGFR抗体薬の無効因子であることが判っていることからも、腫瘍部位は抗EGFR抗体薬薬の選択因子ならず除外因子になり得る可能性はございます。

ただし、先述した通り右側のBRAF遺伝子変異陽性率は3人に1人の割合ですので、腫瘍部位はBRAF遺伝子検査の完全な代替になり得ないことはご留意ください。


この記事に利益相反はありません。

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