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臨床試験に一石を投じるプラグマティック試験の実例:PRABITAS試験が示すエビデンス創出の新たな形 JSMO2026
[公開日] 2026.04.22[最終更新日] 2026.04.21
3月26日~28日、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO 2026)がパシフィコ横浜で開催された。「シンポジウム9」のセッションにおいて、「実務的アプローチ(プラグマティック試験)の実例紹介~切除不能大腸癌を対象としたトリフルリジン・チピラシル+ベバシズマブの従来法と隔週法の第III相試験(PRABITAS)」と題して谷口浩也先生(愛知県がんセンター 薬物療法部)が発表した。
プラグマティック試験(PCT)は、厳格な基準の下で実施される従来の臨床試験とは異なり、登録基準を広げるなど試験デザインを簡略化することで、日常診療に則したエビデンスを創出する新しい手法として注目されている。日本においてPCTの大規模な実施例は稀であったが、がん領域で初めてのランダム化第3相PCTとしてPRABITAS試験が実施された。
切除不能大腸がんにおける3次治療以降の標準治療としてのトリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)+アバスチン(一般名:ベバシズマブ)は、副作用の懸念から隔週投与法が実臨床で広く用いられつつあるが、ランダム化比較試験での十分なエビデンスがない。このような背景の中、FTD/TPI+アバスチンの従来投与法と隔週投与法をランダム化比較するPRABITAS試験が計画された。主要評価項目は全生存期間(OS)とし、製薬企業やAMEDからの研究資金を得ずに、愛知県がんセンターで運営された。
谷口先生は、PCTとしての同試験の特徴として、①患者選択基準の緩和、②実臨床に準じた介入(治療開始・用量調整・検査タイミングなどに基準なし)、③収集項目の簡素化などを挙げた。また、これらの条件緩和により参加できる施設数が増えることで、個々の施設における運営の負担とコストを抑えた仕組みであることもメリットとして説明した。
2023年12月から2025年5月までに、全国179施設から972例が登録・ランダム化され、月平均57例という非常に速い登録を達成した。患者選択基準を緩和したことにより、患者背景は多様であり、ECOG PS 2、血液・尿検査異常、合併症の併存など、従来の臨床試験では除外基準に該当する患者さんが15%含まれていた。また、1サイクル目において、約1割の患者さんがFTD/TPIを減量して開始しており、全コースにおいて両群それぞれ18%の患者さんが、標準的な投与基準を満たさずにFTD/TPIを開始していた。谷口先生は、標準的な投与基準から外れた患者さんでも、PCTでは主治医の判断により治療が実施できるため、追加の来院や投与日程の調整などに伴う患者さんの負担も軽減できることを強調した。
同試験においては、実臨床で実施されている隔週投与法によって、血液毒性・消化器毒性が軽減する結果が示唆されており、有効性に関しては、全生存期間の非劣性を評価する主要解析が、2026年内に報告される予定である。「ポジティブな結果が出れば、隔週投与法が標準療法としてガイドラインに反映されますが、もしネガティブであったとしても、現在の実臨床での使用に警鐘を鳴らすことになり、どちらにしても意味がある試験だと思っています」(谷口先生)
谷口先生は、PCTは質の高い施設が広く分布する日本の特徴を生かした効率的デザインであり、人口減少や臨床試験の減少に伴う日本において、エビデンス創出の起爆剤となり得ると、展望を語り講演を締めた。
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