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フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対するアイクルシグvsイマチニブ:PhALLCON試験 第22回日本臨床腫瘍学会学術集会より

[公開日] 2025.03.14[最終更新日] 2025.03.14

3月6日~8日、第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO 2025)が神戸コンベンションセンターで開催された。「Presidential Session1」のセッションでは、「In-depth Responder Analysis of PhALLCON, a Phase 3 Trial of Ponatinib Versus Imatinib in Newly Diagnosed Ph+ ALL」と題して南陽介先生(国立がん研究センター東病院)が発表した。 PhALLCON試験(NCT03589326)は、フィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)急性リンパ性白血病(ALL) の患者を対象に、チロシンキナーゼ阻害薬アイクルシグ(一般名:ポナチニブ)とイマチニブ(日本において唯一初回治療としての承認を得ているチロシンキナーゼ阻害剤)の有効性を検討した第3相国際共同非盲検比較試験(日本からは13人が参加)。導入療法終了時の最小残存病変(MRD)陰性の完全寛解率(CR)は、アイクルシグ群の方がイマチニブ群との比較で有意に高いことが既に示されており(34.4%vs16.7%;P=0.002)、米国食品医薬品局(FDA)から承認を得ている。今回は、年齢およびBCR::ABL1遺伝子変異体のサブグループ解析について発表された。 患者は、ポナチニブ(30mg/日)またはイマチニブ(600mg/日)+減量化学療法(20サイクル)に2:1で無作為に割り付けられた。追跡期間中央値19.4ヵ月時点において、MRD陰性完全寛解率はアイクルシグ群で68%、イマチニブ群で50%であった。また、年齢およびBCR::ABL1遺伝子変異体(p190/p210)毎のサブ解析では、65歳未満で69%vs49%、65歳以上で62%vs53%、p190で70%vs57%、p210で60%vs36%であり、どのグループでもアイクルシグ群の同等の効果が認められた。 PFSの中央値は、全体ではアイクルシグ群の方がイマチニブ群と比較して2倍以上長く(20.2ヶ月vs7.5ヵ月、ハザード比:0.52、95%信頼区間:0.36-0.73)、65歳未満では18.7ヶ月vs7.3ヵ月(ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.34-0.74)、65歳以上では22.5ヶ月vs7.5ヵ月(ハザード比:0.65、95%信頼区間:0.28-1.49)、p190では22.5ヶ月vs9.3ヵ月(ハザード比:0.52、95%信頼区間:0.34-0.81)、p210では9.0ヶ月vs4.1ヵ月(ハザード比:0.48、95%信頼区間:0.26-0.90)であった。 造血幹細胞移植を受けたMRD陰性完全寛解率の割合は、アイクルシグ群の32%に対してイマチニブ群で56%であり、アイクルシグ群で造血幹細胞移植率(治験責任医師の裁量)は低かった。 アイクルシグは効果が高い反面、心毒性が懸念されていたが、今回の報告では、安全性プロファイルも両群で同等であった。これは、アイクルシグ群において、MRD陰性完全寛解を達成した時点で15㎎への減量を実施したことによるものと示唆された。 ALLにおける全身療法は、従来移植へのブリッジが前提になっていたが、アイクルシグを使うことによって今後移植が不要な症例も一定割合出てくることが期待できる結果である。なお、アイクルシグの用量に関しては、慢性期慢性骨髄性白血病を対象としたOPTIC試験でも検討され、効果発現後の減量の妥当性が示されている。 関連リンク: 第22回日本臨床腫瘍学会学術集会
ニュース 白血病 ALLJSMOアイクルシグイマチニブフィラデルフィア染色体ポナチニブ

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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