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EGFR変異陽性III期非小細胞肺がんを対象としたLAURA試験、日本人症例の解析結果が発表 ~第65回日本肺癌学会学術集会より~
[公開日] 2024.11.07[最終更新日] 2024.11.28
10月31日~11月2日、第65回日本肺癌学会学術集会がパシフィコ横浜で行われた。同学術集会のプレジデンシャルセッション「Osimertinib after definitive CRT in unresectable stage III EGFRm NSCLC:LAURA Japan cohort analysis」では、加藤晃史先生(神奈川県立がんセンター呼吸器内科)がLAURA試験における日本人症例の結果を発表した。
LAURA試験は、切除不能IIIA-IIIC期EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、化学放射線療法後のタグリッソ(一般名:オシメルチニブ)がプラセボと比較して無増悪生存期間(PFS)を大幅に改善することを示した初の第2相試験である。
同試験に登録された日本人症例は30例(タグリッソ群23例、プラセボ群7例)。全体集団と比較した日本人集団における患者背景の特徴として、高齢であること、タグリッソ群においてECOG PS良好な症例が多いこと、IIIA期の割合が高いことなどが挙げられるが、その他の点では大きな差は見られなかった。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、タグリッソ群で38.4ヶ月(13.9-算出不能)、プラセボ群で6.4ヶ月(2.1-13.8)であり、全体集団と同等の効果が認められた(39.1ヶ月 vs 5.6ヶ月)。また中枢神経系におけるPFSの中央値は、38.9ヶ月(22.0-算出不能) vs 7.4ヵ月(3.5-算出不能)であった。
全生存期間(OS)の中央値に関しては、全体集団で54.0ヵ月 (46.5-算出不能) Placebo (n=73) vs NR (42.1-算出不能)であったのに対し、日本人における中央値は提示されなかったが、データカットオフ時点でタグリッソ群では6/23例(26%)、プラセボ群では1/7例(14%)にイベント(死亡)が認められたことが示された。
グレード3以上の有害事象は、タグリッソ群の39%に対してプラセボ群で0%であった。放射線肺臓炎はタグリッソ群の83%に対してプラセボ群で57%と、全体集団と比較して多い傾向であったが、大部分がグレード1/2であり、タグリッソ群で1例グレード3の肺臓炎による治療中止を認めたものの、グレード4以上はいずれの群でもいなかった。
この点に関して加藤先生は、「日本人における頻繁な肺臓炎モニタリングによって、低グレードのものが発見されやすかったのではないか」とコメントした。またタグリッソ群において、肺臓炎が認められた19例のうち16例(84%)は、肺臓炎の再燃もなくタグリッソを80mgで継続/再開が可能であった。
現在タグリッソは、術後、化学放射線療法後、そして進行期の初回治療として使用が認められている。そのため、正確な病期判定とMDT(Multidisciplinary Team、多職種で構成される支援チーム)によるディスカッションにより、タグリッソを最適なタイミングで使うことが重要になってくる。
また、今回対象となったIII期NSCLCは、根治が目指せる症例であるため、タグリッソを病勢増悪まで飲み続けることが疑問視された。これに対して加藤先生は、EGFR変異陽性症例は化学放射線療法だけでは根治が望める症例は10%程度であり、更に現時点ではEGFR-TKIによる根治が可能かどうかもエビデンスがないことに言及。できるだけ早い段階から始めて治療を継続していくことの必要性を強調した。
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