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進行胃がんに対する放射線治療と免疫療法の併用療法の可能性:CURCUIT試験の3年追跡データ ~日本放射線腫瘍学会第37回学術大会より~
[公開日] 2024.12.05[最終更新日] 2024.12.05

11月21日~23日、日本放射線腫瘍学会第37回学術大会がパシフィコ横浜で行われた。学会1日目、「要望演題2:免疫放射線療法・Cardio-radio-oncology」の中で、「進行・再発胃癌に対するRT+Nivo試験(CIRCUIT試験):3年フォローアップデータ」と題して鈴木義行先生(福島県立医科大学医学部 放射線腫瘍学講座)が講演した。
CIRCUIT試験は、進行胃がんに対する緩和的放射線療法と抗PD-1抗体オプジーボ(一般名:ニボルマブ)の併用に関する単群第1/2相試験。今回は追跡期間3年のデータが報告された。
対象は、試験開始当時のオプジーボの適応と同じ「一次および二次化学療法により奏効が認められなかった症例」かつ、「画像診断で評価可能な病変が2つ以上存在する症例」とした。治療介入は、腫瘍径が最大または症候性の病変に22.5Gy/5frの照射が施行され、14日以内にオプジーボ投与を開始した。
同試験には41例の進行胃がん症例が登録され、患者背景は、年齢中央値が70歳、前治療レジメン(化学療法)の数は2-3、また33例(81%)が5個以上の病変を有し、34例(83%)が2臓器以上に病変を有する、非常に進行した症例。総照射部位数は61(リンパ節、肝臓、胃など)であった。
類似の試験として、2レジメン以上の化学療法後の進行胃がんに対するオプジーボ(一般名:ニボルマブ)の効果を検討した第3相ATTRACTION-2試験がある。
生存期間中央値および無増悪生存期間中央値は、ATTRACTION-2試験ではそれぞれ162日と48日であったのに対し、CURCUIT試験では218日と92日であった。また、1、2、3年目までの全生存率は、CURCUIT試験においてそれぞれ28%、15%、13%であったのに対し、ATTRACTION-2試験では28%、11%、6%であり、CURCUIT試験の一部の症例においては、長期間にわたる効果の持続が認められた。「非常に進行した状態でも、一部の症例において完治する可能性が示されました」(鈴木先生)
また被照射病変の1、2、3年における局所制御率は、それぞれ80%、67%、67%を示した。今回のCURCUIT試験で使った線量は、根治的放射線療法の場合と比較してかなり弱い(緩和照射で使う線量に近い)線量であったにもかかわらず、高い局所制御率を発揮できたことを鈴木先生は強調した。
安全性に関しては、グレード3以上の有害事象は16例(39%)であり、ATTRACTION-2試験とほぼ同等の結果であった。また放射線治療に関連する重篤な有害事象や晩期毒性は認められなかった。
今回の結果を受けて鈴木先生は、進行胃がんに対する放射線治療とオプジーボの併用療法は、安全かつ予後を改善する可能性が示唆されたため、治療選択肢として検討されるべき治療法だと結論づけた。
同研究は、今年の米国放射線腫瘍学会学術大会(ASTRO 2024)にて発表されたものであり、「放射線治療は手術の補助治療としてではなく、手術の代わりの治療になり得る」とのコメントを受けたことを紹介。今後の放射線治療の可能性に言及し、講演を締めくくった。
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