※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。
ベルギーのIteos社は、抗Tigit抗体の開発が停滞しているため、抗PD-(L)1抗体併用の可能性に期待しているが、GSK社はこの楽観的な考えを共有しているのだろうか? スイスのロシュ社のSkyscraper-01試験で生存期間の延長が期待され、米ギリアド社はArc-7試験を盛んに宣伝しているが、Tigit開発の波は早くも消えつつある。一方、はるかに小規模なTigitの開発企業であるベルギーのIteos社は、Tigitの開発を諦めてはいない。 Iteos社にとって有利なのは、英グラクソ・スミスクライン(GSK)社と提携したプロジェクトが最近belrestotug(ベルレストツグ)と命名され、12月に発表されたPerla試験で米メルク・アンド・カンパニー(メルク)社の キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)に驚くべき勝利を収めたJemperli(一般名:ドスタリマブ)と併用していることだ。Iteos社のCEOであるMichel Detheux氏は、Evaluate Vantageチームに「私たちの研究では、最高の抗PD-1抗体の1つと、差別化された抗Tigit抗体があります」と語っている。 しかし大きな疑問は、GSK社がこの点を評価しているかどうかである。GSK社とIteos社は2021年からbelrestotugで共同研究を行っているが、その契約を結んだ最高科学責任者であるHal Barron氏は、GSK社のオンコロジー戦略を推進したが、1年前に去った。 それ以来、オンコロジーがGSK社の主要な分野であるかどうか疑問視されており、ロイター通信では、Barron氏の後任であるTony Wood氏はオンコロジーに「焦点を当てない」と報じている。しかし、Iteos社はそうは考えていない。 「Hal Barron氏と築いてきた関係を、Tony Wood氏とも築くことができました」とDetheux氏は言う。米ロイター紙のインタビューについて懸念を表明したところ、「夜中にWood氏から返信があった。彼は、『我々はオンコロジー分野の特定のプログラムに大規模な投資を行っており、Tigitは最優先事項である』と私に語った」という。 また、Iteos社の財務責任者であるMatthew Gall氏は、GSK社とTigitとの共同開発を進めるグループのメンバーであり、大手製薬会社のパートナーとして十分に責任を果たしていないというリスクは常にあるが、「GSK社と同席しているときに感じることはない」とVantageチームに語っている。 撤退はしない GSK社も、オンコロジー領域からの撤退を否定している。GSKの事業開発責任者であるChris Sheldon氏は、先週ロンドンで開催されたLSX Congressで、Wood氏は「(がん領域について)あまり語らないと言っていた」と述べた。「そして、これらの発言は、オンコロジー領域の優先順位が下がったと解釈されたと思いますが、そうではありません」とも述べている。 Sheldon氏は、ADC(抗体薬物複合体)やT細胞エンゲージャーを含む抗体医薬は、GSK社の免疫腫瘍学の事業開発の焦点であり続け、優先順位が低くなるのは、放射性医薬品や細胞治療などのより複雑な治療法であると付け加えた。 しかし、GSK社とIteos社が提携してから、事態が猛烈なスピードで進展したとは言い難い。ライバルの抗Tigit抗体が16個の重要な試験の対象となり、ロシュ社とメルク社が計画を大幅に拡大した一方で、belrestotugは今年、Jemperliとの第3相併用試験を開始する計画があるにもかかわらず、開発の途中段階にとどまっている。 このことは、昨年12月にひそかに公表されたデータによれば、最高の抗PD-(L)1抗体を持っているかもしれない大手製薬会社側の明らかな抵抗感を示している。 Esmo Immuno-oncology Congressにおいて、Jemperliとキイトルーダの化学療法併用療法を比較した小規模な初回非小細胞肺がん(NSCLC)を対象としたPerla試験は、同等の奏効率(ORR)を示すという目的を達成した。それどころか、ORRはJemperliが46%対37%とキイトルーダを上回り、無増悪生存期間(PFS)でもメルク社製薬剤(キイトルーダ)に対して30%の進行・死亡リスクの低減を達成した。Perla試験は優位性を示すようにデザインされたわけではないが、その差は顕著だった。