※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。
子宮頸部前がん病変治療の候補薬の試験に成功したという同社の主張は疑わしいようだ。
米イノビオ社が2年前に下したがん治療用ワクチンから撤退するという決断は
理にかなっているように見えた。現在問題となっているのは、同社が軸足を置いている他のワクチンプロジェクトかもしれない。
昨日(3月1日)発表された同グループの主要パイプラインであるVGX-3100に関するデータは、この治療法が承認されるかどうか、ましてや商業的に成り立つかどうかについて疑問を投げかけており、今朝のイノビオ社の株価は8%下落した。
VGX-3100は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した子宮頸部の高悪性度扁平上皮病変を治療するために開発されたDNAワクチンだ。高悪性度扁平上皮病変は前がん性の子宮頸細胞であり、常にではないが子宮頸がんに進行する可能性がある。現在の標準的な治療法は、病変部の外科的な切除だが、将来の妊娠時に合併症を引き起こす危険性がある。
イノビオ社は、VGX-3100が手術の代替となることを期待しているが、第3相
Reveal1試験の最新データは、説得力に欠けるものであった。同社はこの試験で成功を収めたと主張しているが、エンドポイントデータのない8人の患者を除外したmodified intent to treat(mITT)解析を用いた場合のみ、この試験が主要評価項目を満たしたに過ぎないことを認めている。
これらの患者をノンレスポンダーとしてカウントする、より厳格なITT集団では、VGX-3100の統計的に有意な効果は消失した。
承認は可能なのか?
問題は、mITT集団での結果が承認に十分なものであるかどうかであり、申請が行われるまでは、FDAがこれを受け入れるかどうかはわからない。
審査が甘くなると仮定しても、VGX-3100の奏効率は、手術と比較して優れているようには見えない。mITT集団においても、奏効したのは治療群131名中24%、プラセボ群62名中11%だった。最も一般的な手術法である変異部のラージループ切除では、
75%程度の成功率が報告されている。
イノビオ社は、すでに奏功率の向上に取り組んでおり、VGX-3100の効果が最も期待できる女性を特定するコンパニオン診断薬を、
独キアゲン社と共同で開発している。このプロジェクトの第2相試験の事後分析では、85%の患者で奏効が予測された。
それでも、この結果を前向きに証明する必要があり、これこそがイノビオ社がVGX-3100の2つ目の主要試験である
Reveal2試験で目指していることだ。しかし、この試験の患者登録はコロナウイルス感染症の大流行の影響を受けたため、同社は試験の終了時期を明らかにしていない。
現在、プレッシャーがかかっているのはReveal2の成果であり、バイオマーカーの開発に向けたイノビオ社の取り組みも、「あらゆる商品化戦略にとって重要」であると、米Stifel社のアナリストは述べている。Evaluate Pharma社によると、VGX-3100の2026年のコンセンサス売上予測は4億ドルだ。
VGX-3100が再び不発に終わった場合、イノビオ社のCovid-19ワクチン候補であるINO-4800が同社を救う可能性は低いと思われる。同プロジェクトの
第2/3相試験の重要な部分はまだ臨床開発が一時停止されており、グループは第2四半期(4月~)後半まで患者登録を開始できないと予想しているが、その頃には先行する他社ワクチンがCovid-19感染症を抑え込んでいるであろう。
■出典
Inovio’s reinvention falls flat