「プライバシー情報マネジメントシステム」認証取得のお知らせ

Esmo 2021–アストラゼネカがエンハーツの壮大なビジョンを提示Evaluate Vantage(2021.09.22)より


  • [公開日]2021.10.20
  • [最終更新日]2021.10.19

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

しかし、この薬剤の毒性が実臨床で管理可能であることを証明することは、早期の治療段階に移行するにつれてより重要になる。

複数の治療歴を有するがん患者で良好な反応が得られたことで、パートナーである英アストラゼネカ社と第一三共株式会社は、エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン)をより早期の、より価値のある治療現場に移行することを決意した。今週末(9月16日~21日)に開催された欧州臨床腫瘍学会議(ESMO 2021)での印象的な新データにより、この決定のリスクは低くなったと考えられ、証券アナリストはすでに来年ブロックバスターになると予想していた本薬剤の売上予想を大幅に引き上げた。

しかし、依然としてこの抗体薬物複合体(ADC)の最大の懸念事項である間質性肺疾患(ILD)とそれに関連する肺炎の発生率が管理可能であることをこの2社が示すかどうかにかかっている。心強いことに、前治療歴が少ない患者はILDの影響を受けにくいようであると、アストラゼネカ社の乳がん研究の責任者であるSunil Verma氏はEvaluate Vantageに語っている。この発見は、Her2標的薬の第一選択薬としての期待を高めるものである。

今週末のEsmoで大々的に発表された2次治療としてのDestiny-Breast03試験におけるILDの発生率は、過去に行われた後治療としてのエンハーツの試験に比べてかなり低いものだった。Verma氏は、患者がこの潜在的に致死性のある肺疾患を発症する可能性を高めているのは、疾患の重さなのか、それとも以前の治療法なのかを知ることは困難だと語る。

Verma氏は、「しかし、私たちに言えることは、前治療をあまり受けていない患者を対象とした早期治療の臨床試験では、適切な介入を行うことで、患者はグレード4および5の(ILD)リスクをゼロにできる可能性があるということだ」と述べている。

実臨床では、アストラゼネカ社と第一三共社が推進している、ILDを早期に診断し、コントロールするためのプロトコルを医師が遵守するかどうかにかかっていると、Verma氏は述べている。彼は、このことが臨床試験での(ILDの)罹患率の低下につながっていると考えている。グレード1は最も軽度で、ほとんどが放射線学的所見であり、グレード2では症状が現れ、患者はエンハーツの治療を中止しなければならず、グレード5はこの疾患による死亡を意味する。

Verma氏によると、腫瘍の種類によってILDへの罹患率が変わることはないようだが、肺がんは特殊な状況である可能性があると付け加えた。

「(ILDに関する)多くの知見は、がん領域全体に適用できると思うが、過去に受けた免疫療法や、腫瘍の種類が異なる患者の基礎的な機能など、考慮しなければならない特殊な状況があるかもしれない」と、彼は述べている。


Source: Dr Bob Li and Esmo 2021.

Destiny-Breast03試験に続き発表されたHer2陽性肺がんにおけるエンハーツの新たなデータは、おそらくEsmoで発表された最大の内容だった。Destiny-Lung01試験における55%の奏効率は、同様の環境下で実施された試験の中で報告された最高の全奏効率(ORR)だったが、これには問題があった。データが報告された91名の患者のうち、75%の症例が低悪性度と判定されたにもかかわらず、ILDにより2名が死亡し、約30%が治療中止にいたったのだ。

中央値で2つの前治療、中には7つの前治療を受けた患者もおり、Verma氏の推論によれば、この患者群は明らかに進行した患者群であり、ILDの発生率が高いことが予想された。Esmoでデータを発表したニューヨーク・メモリアルスローンケタリングがんセンターのBob Li博士は、死亡した患者はいずれも肺葉切除術を受けており、Destiny-Lung01試験に登録する直前に免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けていたと述べた。

しかし、患者数は少ないものの、免疫チェックポイント阻害薬の使用と肺炎との間に明確な関連性は試験全体を通して見られなかったと付け加えている。免疫療法ががんの種類、特に肺がんに広く展開されていることを考えると、この点を確認することは重要だ。

「エンハーツを用いた複数の疾患の全臨床試験のメタアナリシスをしているが、これまでのところIO(免疫療法)との関連性は認められていない。また、人種的な民族性や地理的な違いなど、他のリスク要因についても検討している。日本人患者では肺炎のリスクが高いようだ。しかし、未解決の問題が多く、早期発見により注意を払う必要がある」と彼は学会(Esmo)で語った。

大いなる野望

アストラゼネカ社はDestiny-Lung01試験のデータについて、規制当局との協議を開始したと、Esmoの後に行われた投資家向けのイベントで同社幹部が述べた。肺がんでは、Her2を標的とした薬剤は承認されておらず、エンハーツはこの領域で画期的な治療薬に指定されているため、申請後すぐに迅速な承認が得られることが期待される。

肺がんに対する一次治療の試験がまもなく開始される。しかし、非扁平上皮NSCLC(非小細胞肺がん)のうち、Her2が関与しているのはわずか3%であり、このタイプの腫瘍はまれだ。乳がんは大きなターゲットであり、アストラゼネカ社は、エンハーツ単剤または併用療法について、一次治療および周術期を対象に4つの試験を行っている。

目標は明確で、スイス・ロシュ社の広大なHer2標的フランチャイズを超えることだ。Destiny-Breast03試験でこのスイスのライバルグループのADCであるカドサイラ(一般名:トラスツズマブ エムタンシン)を楽に打ち負かしたエンハーツは、次にハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)とパージェタ(一般名:ペルツズマブ)に照準を合わせている。アストラゼネカ社のVerma氏は、ここでも期待を隠さない。

「私たちは、転移性乳がんを長期の慢性疾患に変え、願わくは一部の患者には治癒をもたらすことができるかどうか、全力で取り組んでいる」と述べている。

乳がんの一次治療では、「すべてのデータに基づいて、パージェタとハーセプチンを打ち負かすことができると確信している」。術前補助療法(ネオアジュバント)または術前の使用では、病理学的完全奏効率は最良で60%から65%の間であると彼は言う。「そして、(後治療で)見られている反応の大きさを考えると、それをはるかに高くすることができると思う」

Verma氏はまた、Her2の発現が低い患者を対象に実施されたDestiny-Breast04試験から得られる次の一連の新しいデータで、エンハーツが印象的なものになるだろうと確信している。この試験は、同剤の有効性を検証する重要な試験となるだろう。

証券会社は、エンハーツに対するアストラゼネカ社の明確な興奮を分かち合っている。第一三共社が計上している2026年のグローバル売上予測のコンセンサスは、現在41億ドルとなっている。しかし、これは今後数ヶ月で大幅に上昇する可能性がある。例えば、米Leerink社はEsmoでの発表を受けて、アストラゼネカ社が計上する売上のピーク予想を18億ドルに倍増させた。

このような大きな期待に応えるためには、同2社は、臨床や実践の場で、ILDの発症率を抑えられることを示す必要がある。しかし、抗体薬物複合体の真の可能性をついに示すのはエンハーツになりそうだ。

■出典
https://www.evaluate.com/vantage/articles/events/conferences/esmo-2021-astra-lays-out-grand-vision-enhertu

×

リサーチのお願い