EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の新薬ダコミチニブについて

EGFR(上皮成長因子受容体)とは、細胞の増殖と成長を抑える上皮成長因子 (EGF) を認識し、シグナル伝達を促進させる受容体です。従来は正常細胞の分化、増殖などの役割を担っていますが、EGFRは癌細胞にも存在します。そして、癌細胞に存在するEGFRに遺伝子変異が生じると、癌細胞の分化、増殖を促進させ、癌細胞が限りなく増殖します。

そのため、EGFRは肺癌をはじめ大腸癌、胃癌、乳癌など複数の癌種の標的となっております。特に、肺癌では他の癌種と比較してEGFRを標的とした治療戦略の有効性が高いことが判っております。

現在のところ、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の治療薬としてはEGFR-TKI(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)であるイレッサ(ゲフィチニブ)、タルセバ(エルロチニブ)、ジオトリフ(アファチニブ)の3剤が国内で製造販売承認されております。

3剤もの治療選択肢があることは患者にとっても医師にとっても喜ばしいことですが、その反面何を基準にこの3剤を選択すればいいのか?迷います。なぜなら、この3剤の中でどのEGFR-TKIが最も優れた薬剤であるのか?その答えが出ていないからです。

イレッサ、タルセバ、ジオトリフの3剤ともEGFR-TKI同士で直接比較した試験の結果でなく、既存の殺細胞性抗癌薬との比較の試験結果より有効であると判断され、製造販売承認を得ております。そのため、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の治療成績をさらに向上させるためにはEGFR-TKI同士を直接比較した結果が待ち望まれておりましたが、

ダコミチニブ

がその使命を果たしてくれました。ダコミチニブはイレッサ、タルセバ、ジオトリフに次ぐ第2世代EGFR-TKIです。第1世代EGFR-TKIであるイレッサとの直接比較試験の結果が、今年のASCO(米国癌治療会議)2017で報告されました。その結果は、

ダコミチニブ

がイレッサよりもPFS(無増悪生存期間) を有意に延長しました。この結果は、EGFR-TKIならどれを使っても同じと考えられた時代から、どのEGFR-TKIを先に使えばいいのか?を考える時代に移行したことを意味します。

ダコミチニブの添付文書情報(未定)

製品名

未定

一般名

ダコミチニブ(dacomitinib)

用法用量

未定(ダコミチニブとして45mgを1日1回経口投与する)

効能効果

未定(EGFR変異陽性非小細胞肺癌)

主な副作用

未定(ざ瘡様皮疹、下痢)

製造承認日

未定

ダコミチニブの作用機序

ダコミチニブはチロシンキナーゼドメインに共有結合し、自己リン酸化を阻害することによりHER1/EGFR、HER2およびHER4のキナーゼ活性を不可逆的に阻害します。結果として、下流のシグナル伝達を阻害して、癌細胞の増殖抑制およびアポトーシス誘導をすることで抗腫瘍効果を発揮します。

ダコミチニブの最新情報

1)Dacomitinib versus gefitinib for the first-line treatment of advanced EGFR mutation positive non-small cell lung cancer (ARCHER 1050): A randomized, open-label phase III trial.

概要

EGFR変異陽性非小細胞肺癌患者の一次治療として、第2世代EGFR-TKIであるダコミチニブを投与する郡、第1世代EGFR-TKIであるイレッサを投与する郡に分けて、PFS(無増悪生存期間) の延長を比較検証した試験。結果は、イレッサよりもダコミチニブの方がPFS(無増悪生存期間) を有意に延長しました。

出典

2017 ASCO Annual Meeting

配信日

2017年6月2日

ダコミチニブの口コミ

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その他医療関係者のコメント

ダコミチニブの治験情報

1)A Study Of Dacomitinib (PF-00299804) Vs. Erlotinib In The Treatment Of Advanced Non-Small Cell Lung Cancer

治験の概要

少なくとも1回以上の治療歴のあるEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者に対してダコミチニブ、又はタルセバ(エルロチニブ)を投与する郡に分けて、PFS(無増悪生存期間) を比較検証する治験

治験の期限

2013年9月30日(終了)

参照
1)ファイザー株式会社プレスリリース
2)肺癌診療ガイドライン


この記事に利益相反はありません。

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