1.ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは
放射線治療法の一種で、人体に無害な中性子をがんに照射し、がん細胞内にあらかじめ取り込ませたホウ素化合物と核反応をおこさせることで、がん細胞だけを死滅させる革新的な治療法です。
従来の放射線療法との違いは4つあり、正常細胞にほとんどダメージを与えないこと、照射回数が1回で済むこと、再発がんにも治療適応であること、そしてPET検査と併用することで治療前にその治癒の可能性が予測できることです。つまり、従来の放射線療法の常識を破る革新的な治療法でです。
2.ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の適応は
神経膠腫(グリオーマ)、頭頚部がん、悪性黒色腫などへの適応が期待されており、現在も臨床試験が進行しております。ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は細胞単位で効くため、形がはっきりしない浸潤性、多発性のがんに向いております。また、中性子が入る深さが体表から7センチ程度となりますので、深い部分のがんには向きません。
3.ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の名医
1.宮武伸一(東京クリニック・脳神経外科)
2.伊丹純(国立がん研究センター中央病院・放射線治療科)
3.小野公二(京都大学原子炉実験所粒子線腫瘍学研究センター)
4.鈴木実(京都大学原子炉実験所粒子線腫瘍学研究センター)
5.髙井良尋(南東北BNCT研究センター)
4.ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)関連の銘柄
1.ステラケミファ
BNCTの成功に不可欠なのは、がん細胞に取り込ませるホウ素(Boron-10)化合物です。この化合物をがん細胞が取り込むことで中性子線照射により選択的にがん細胞のみを破壊できるのです。ホウ素(Boron-10)は自然界に20%しか存在しなく、これまで濃縮する技術がなかったためにBNCTの臨床応用が不可能とされていましたが、この技術をステラファーマの100%子会社であるステラケミファが国内で唯一持っています。
2.住友重機械工業
BNCTの成功に不可欠なもう1つは中性子です。中性子の発生はこれまで原子炉に依拠していたために、病院から原子炉まで患者をわざわざ運ぶ不便さがありBNCTの実施が困難でした。しかし、この困難を住友重機械工業が世界初の小型加速器BNCTを開発することで乗り越えました。
3.ローム
BNCTの装置、研究施設を京都府立医科大学に寄付するリリースをロームは出しております。
SiC-BNCT機器の共同研究開発及び研究センターの整備について
従来のBNCT装置よりも小型化され、中性子が入る深さが体表から25cm程度まで拡大する見込みです。