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様々な固形がん 免疫チェックポイント阻害薬アベルマブ(バベンチオ)と免疫活性抗体(4-1BB抗体、OX-40抗体)の第1/2相試験

[公開日] 2016.09.05[最終更新日] 2024.10.03

目次

本試験は、PD-L1抗体アベルマブ(バベンチオ)に免疫活性を有するアゴニスティック抗体(4-1BB抗体またはOX-40抗体)の併用時の安全性と有効性を確認する臨床試験です。

<一般的な説明>

試験概要

免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体アベルマブ(バベンチオ)と免疫活性を有するアゴニスティック抗体(4-1BB抗体ウトミルマブまたはOX-40抗体PF-04518600)の併用時の安全性と有効性を確認する第1・2臨床試験です。主な対象は、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、悪性黒色腫、トリプルネガティブ乳がん、大腸がんとなりますが、実施時期により対象や条件が変更される試験となります。

治験薬剤の説明

◆アベルマブ(バベンチオ) Avelumab(アベルマブ)はPD-L1抗体です。通常、細菌等の異物が体内に認められたときに免疫細胞が攻撃します。一方、がん細胞は免疫細胞から異物と認められないような機能を有しますが、その時にPD-L1というたんぱく質がかかわっています。Avelumab(アベルマブ)はその機能を無効にできると期待されています。結果、がん細胞を異物であると認識することができるようになります。がん細胞を異物と認識できるようになると、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになります。 ◆ウトミルマブ Utomilumab(ウトミルマブ)は4-1BB抗体です(別名CD137抗体)。4-1BBは、がんと闘う多くのT細胞表面に発現するたんぱく質受容体で、4-1BBに4-1BBアゴニスト(4-1BBを活性化するタンパク質)が結合すると、T細胞が刺激されて増加することが観察されており、そのため、がん細胞を攻撃して死滅させる免疫反応が加速されると考えられています。Utomilumabは、4-1BBアゴニストと同じ作用を有します。ウトミルマブと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法試験が進行しており、免疫チェックポイント阻害剤は別のシグナル経路に作用し、自己免疫システムを制御するがん細胞からのシグナル伝達を遮断することで効果を発揮すると考えられています。このシグナル伝達を遮断することにより、自己免疫システムががん細胞を攻撃するとみられています。 ◆PF-04518600 PF-04518600はOX40抗体です。OX40も4-1BBと同じくT細胞表面上に発現するタンパク質受容体で、OX40にOX40アゴニスト(OX40を活性化するタンパク質)が結合すると、T細胞が刺激されて増加することが観察されており、そのため、がん細胞を攻撃して死滅させる免疫反応が加速されると考えられています。PF-04518600は、OX40アゴニストと同じ作用を有します。 図1

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 20歳以上の方
  2. 固形がんと診断されている方(併用療法の種類や時期により対象が異なる)。Combination A:P1bパートでは、標準療法がなくなった非小細胞肺がんの方。P2パートでは、様々なラインの非小細胞肺がん、悪性黒色腫、頭頸部扁平上皮がん、トリプルネガティブ乳がんの方。Combination B:P1bパートでは、標準療法がなくなった固形がんの方。P2パートでは、様々なラインの非小細胞肺がん、悪性黒色腫、頭頸部扁平上皮がんの方。または、1次治療を標準療法施行された大腸がんの方。なお、P2パートのALK又はEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの方は標準療法に対する効果が乏しくなった方に限定する。
  3. ECOG PS(パフォーマンスステータス) 0又は1の方

この試験の対象とならない方

  1. ステロイド治療を必要とする活動性の自己免疫疾患の既往歴
  2. ステロイド治療を必要とする症候性のCNS転移(脳転移等)
  3. HIV、活動性HBVおよびHCVを有する方

臨床試験公開情報

ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02554812(最終更新日2018/7/30)詳細はコチラ JapicCTI-No. : JapicCTI-163218(最終更新日2018/1/11) 詳細はコチラの検索画面にてJapicCTI-No.に「163218」と記載してください。

治験概要

進行悪性腫瘍患者を対象としたavelumab(MSB0010718C)と他のがん免疫療法との併用療法における安全性,臨床活性,薬物動態および薬力学を検討する第1b/2相非盲検試験(JAVELIN MEDLEY)

対象がん種 固形がん(主に非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、悪性黒色腫、トリプルネガティブ乳がん、大腸がん)
フェーズ P1/2
実施期間 2015年11月 ~ 2017年12月
実施国 日本、米国、オーストリア、カナダ、フランス、英国
目標症例 317
状況 募集中
手法 ランダム化,多施設共同,盲検試験
被験薬名 MSB0010718C(一般名:アベルマブ、 商品名:バベンチオ)、PF-05082566(一般名:Utomilumab、 商品名:-----)、PF-04518600(一般名:-----、 商品名:-----)
種類 アベルマブ:免疫チェックポイント阻害薬(PD-L1抗体)、ウトミルマブ:免疫活性抗体(4-1BB抗体)、PF-04518600:免疫活性抗体(OX-40)
投与経路 静脈注射

<専門的な説明>

試験概要

This is a Phase 1b/2 dose-optimization study to evaluate safety, pharmacokinetics, pharmacodynamics, and preliminary antitumor activity of avelumab (MSB0010718C) in combination with other cancer immunotherapies in patients with locally advanced or metastatic solid tumors. The primary purpose is to assess the safety and early signs of efficacy of various avelumab combinations with other cancer immunotherapies, optimizing dosing regimens as appropriate, in a limited series of indications.(Clinical trials.gov)

治験薬剤の説明

Avelumab(MSB0010718C)は、現在開発中の完全ヒト型抗体で、腫瘍細胞表面に発現するPD-L1(プログラム細胞死リガンド1)に特異的に結合します。avelumabは、二重のメカニズムによって腫瘍細胞を発見・攻撃することが可能であると考えられています。一つは、PD-L1に結合することによって、腫瘍細胞がPD-L1を使ってT細胞などの白血球の抗腫瘍作用から逃れることを防ぐと考えられています。avelumabは、ナチュラルキラー(NK)細胞などの白血球が、腫瘍細胞を発見・攻撃するメカニズムである抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘発すると考えられています。(ファイザープレスリリース) Utomilumab (PF-05082566)は、4-1BB(別名CD137)と選択的に結合する完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)です。4-1BBは、がんと闘う多くのT細胞表面に発現するたんぱく質受容体で、4-1BBアゴニストがCD137と結合すると、T細胞が刺激されて増加することが観察されており、そのため、がん細胞を攻撃して死滅させる免疫反応が加速されると考えられています。前臨床試験においてutomilumabは、T細胞が仲介する免疫反応を強化することで抗腫瘍活性を示しました5,6,7。Utomilumabとチェックポイント阻害剤との併用療法試験が進行しており、チェックポイント阻害剤は別のシグナル経路に作用し、自己免疫システムを制御するがん細胞からのシグナル伝達を遮断することで効果を発揮すると考えられています。このシグナル伝達を遮断することにより、自己免疫システムががん細胞を攻撃するとみられています。(ファイザープレスリリース) anti-OX40 antibody PF-04518600:An agonistic antibody that recognizes the co-stimulatory receptor OX40 (CD134;TNFRSF4), with potential immunostimulatory activity. Upon administration, anti-OX40 antibody PF-04518600 selectively binds to and activates OX40; which induces proliferation of memory and effector T-lymphocytes. In the presence of tumor-associated antigens (TAAs), this may promote a T-cell-mediated immune response against TAA-expressing tumor cells. OX40, a cell surface glycoprotein and member of the tumor necrosis factor receptor superfamily (TNFRSF), is expressed on T-lymphocytes and plays an essential role in T-cell activation.(NCI-dictionary

注意

・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。 ・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。 ・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。 ・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。 ・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。 ・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

臨床試験(治験)とは

・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。 ・その他、「臨床試験記載のルールについて」をご確認ください。 初回作成:可知 健太
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