*この記事は、2017年5月22日に「healsy(http://healsy.jp/)」に掲載されたものを2017年7月27日より「オンコロ」に移管したものになります。移管の際にオンコロのポリシーに則り加筆・修正しております。

トリプルネガティブ乳癌の新薬テセントリク(アテゾリズマブ)について

乳癌の中でも最も予後が悪いと言われるトリプルネガティブ乳癌。なぜ他の乳癌と比べてトリプルネガティブ乳癌の予後が悪いかと言いますと、他の乳癌に効果のある薬がトリプルネガティブ乳癌には効果がないからです。

トリプルネガティブ乳癌とは、エストロゲン受容体もプロゲステロン受容体もHER2も、乳癌の治療効果予測因子とされる3つの因子が癌細胞に発現していない状態(ネガティブ)の乳癌のことを言います。

女性ホルモンのレセプターであるエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体が腫瘍細胞に発現していれば、乳癌発症の原因がホルモンに関係しているため治療が確立しているホルモン療法が実施できます。

癌遺伝子であるHER2が発現していれば、乳癌発症の原因がHER2と関係しているため抗HER2抗体薬であるハーセプチン(トラスツズマブ)により治療が確立しています。

しかしトリプルネガティブ乳癌の場合、ホルモン療法も抗HER2療法にも効果を示しません。そのため、効果の期待できる薬は抗癌剤くらいしか残されていなく、万が一抗癌剤に効果を示さなかった場合の次の治療方法の開発が期待されていました。この期待に

テセントリク(アテゾリズマブ)

が応える可能性があります。なぜなら、テセントリクが投与されてRR(奏効率)を示したトリプルネガティブ乳癌患者の2年OS(全生存期間) が100%ですから。

この結果はわずか11例のトリプルネガティブ乳癌患者を対象とした試験における結果ですので科学的根拠レベルは低いですが、テセントリクが2年OS(全生存期間) 100%の結果の再現性が証明された時、トリプルネガティブ乳癌の治療成績は飛躍することでしょう。

テセントリク(アテゾリズマブ)の薬剤概要

製品名

テセントリク

一般名

アテゾリズマブ(atezolizumab)

用法用量

未定(3週間に1回アテゾリズマブとして 1,200mgを静脈投与する)

効能効果

未定(トリプルネガティブの進行再発乳癌)

主な副作用

未定(疲労、食欲不振、呼吸困難、咳、悪心、筋骨格痛、便秘など)

製造承認日

・2016年10月19日(米国)

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序

テセントリクはTCおよびICに発現しているPD-L1を標的とし、T細胞表面上のPD-1およびB7.1との結合を阻害する。テセントリクによるPD-L1阻害により、T細胞が活性化されることで抗腫瘍効果を発揮します。

テセントリク(アテゾリズマブ)の最新情報

1)Atezolizumab Extends Survival for Breast Cancer.

概要

トリプルネガティブ乳癌患者の一次治療としてテセントリク(アテゾリズマブ)単剤を投与した第一相試験。試験の結果、10%の患者に対してテセントリク(アテゾリズマブ)は非常に高い有効性(奏効率)を示し、安全性も問題ないことが判りました。

出典

Cancerdiscovery

配信日

2017年4月4日

テセントリク(アテゾリズマブ)の口コミ

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その他医療関係者のコメント

テセントリク(アテゾリズマブ)の治験情報

1)A Study of Atezolizumab in Combination With Nab-Paclitaxel Compared With Placebo With Nab-Paclitaxel for Participants With Previously Untreated Metastatic Triple-Negative Breast Cancer (IMpassion130)

治験の概要

未治療のトリプルネガティブ乳癌患者に対して、テセントリク(アテゾリズ)併用療法、またはアブラキサン(パクリタキセル)+プラセボ併用療法を投与してその有効性(PFSOS)を比較検証する治験

治験の期限

2020年4月30日

参照
1)中外製薬株式会社プレスリリース
2)科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン


この記事に利益相反はありません。

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