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非小細胞肺がんの新薬テセントリク(アテゾリズマブ)の治験を受ける前に知っておきたい7つのこと

[公開日] 2016.12.06[最終更新日] 2024.10.02

非小細胞肺がんとテセントリク(アテゾリズマブ)について

非小細胞肺がん患者に対してその有効性が証明された抗PD-1/PD-L1抗体薬としては現在のところ3つの医薬品があります。その3の医薬品とは、オプジーボ(ニボルマブ)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)、そして テセントリク(アテゾリズマブ) です。この3つの医薬品の違いを考える時に重要なことは、非小細胞肺がん患者の治療薬として抗PD-1/PD-L1抗体薬が使われる順番と、医薬品の効果予測因子となるPD-L1の発現率です。 この2つの基準に基づいてオプジーボ、キイトルーダ、テセントリクの3製品の違いを考えますと、非小細胞肺がんにおけるこれら3つの薬剤の特性が理解できます。

非小細胞肺がんの治療として抗PD-1、PD-L1抗体薬を使うタイミング

抗PD-1/PD-L1抗体薬を非小細胞肺がんの治療薬として投与するタイミング、がんが最も進行した状態であるステージⅣです。このステージⅣの一次治療として投与が推奨されてますのはキイトルーダ、二次治療以降で投与が推奨されてますのはオプジーボ、そしてテセントリク(日本未承認)です。なぜ同じ免疫チェックポイント阻害剤でありながら、投与できる場面が違うのか?といえば、各医薬品の有効性を証明した科学的根拠の有無です。 キイトルーダはPD-L1発現率50%以上の非小細胞肺がん患者の一次治療として既存の標準治療である化学療法と比べて、PFS(無増悪生存期間)が有意に延長することを証明した科学的根拠があります。 しかし、オプジーボはありません。正確にはキイトルーダと似た試験デザインで臨床試験を実施しましたが、既存の標準治療である化学療法に対してその有効性を証明することに失敗したのです。そのため、同じ免疫チェックポイント阻害剤でありながらキイトルーダは一次治療で投与できるのに対して、オプジーボは二次治療以降でしか投与できないのです。

PD-L1の発現率と相関する薬剤

抗PD-1/PD-L1抗体薬というその名前の通り、PD-L1発現率により抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果が相関することを当然と考える人もおりますが、実際にそうでもありません。現在のところ、PD-L1発現率と抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果の相関関係が臨床でも確認できているのはキイトルーダのみです。 キイトルーダのその効果はPD-L1発現率50%以上/発現率49%から1%/PD-L1陰性と、3段階のPD-L1発現率に応じて変わることが証明されていて、PD-L1陰性の場合にキイトルーダが効かない可能性が高いです。 そのため、ステージⅣ非小細胞肺がんの患者をPD-L1発現率で分けて、PD-L1陽性である場合にはキイトルーダ、陰性である場合にはオプジーボ、テセントリクと使い分けることもできます。実際に、テセントリクはPD-L1発現率に関係なくその抗腫瘍効果が証明されております。 以上のように、非小細胞肺がん患者に対して現在のところ投与できます抗PD-1/PD-L1抗体薬はオプジーボ、キイトルーダ、テセントリクの3つの抗PD-1/PD-L1抗体薬があります。この3つの抗PD-1/PD-L1抗体薬を使い分ける時には、一次治療で投与するか二次治療以降で投与するか?のその順番と、PD-L1陽性か陰性か?そのPD-L1発現率を参考にしてください。

テセントリク(アテゾリズマブ)の薬剤概要

製品名

テセントリク

一般名

アテゾリズマブ(atezolizumab)

用法用量

未定(3週間に1回アテゾリズマブとして 1200mgを静脈投与する)

効能効果

未定(プラチナ製剤を含む化学療法に対して病態進行した転移性非小細胞肺がん(EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子変異対象外))

主な副作用

未定(疲労、食欲不振、呼吸困難(息切れ)、咳、悪心、筋骨格痛、便秘)

製造承認日

2016年10月19日(米国)

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序

テセントリクはTCおよびICに発現しているPD-L1を標的とし、T細胞表面上のPD-1およびB7.1との結合を阻害する。テセントリクによるPD-L1阻害により、T細胞が活性化されることで抗腫瘍効果を発揮する

テセントリク(アテゾリズマブ)の最新情報

1)Atezolizumab versus docetaxel for patients with previously treated non-small-cell lung cancer (POPLAR): a multicentre, open-label, phase 2 randomised controlled trial

概要

プラチナ製剤ベースの化学療法治療後に増悪した非小細胞肺がん患者に対してテセントリク単剤療法、又はドセタキセル単剤療法を投与して、OS(全生存期間) を比較検証した第二相試験。結果は、ドセタキセル単剤療法に対してテセントリク単剤療法は有意にOS(全生存期間) を延長しました。

出典

The Lancet

配信日

2015年3月9日

テセントリク(アテゾリズマブ)の口コミ

医師のコメント

その他医療関係者のコメント

テセントリク(アテゾリズマブ)の治験情報

1)Study to Assess Safety and Efficacy of Atezolizumab (MPDL3280A) Compared to Best Supportive Care Following Chemotherapy in Patients With Lung Cancer

治験の概要

術後化学療法後の非小細胞肺がん患者にテセントリク単剤療法、又はBSC療法を投与し、その有効性と安全性を比較する治験

治験の期限

2026年9月25日

2)A Study of Atezolizumab in Combination With Carboplatin + Paclitaxel or Carboplatin + Nab-paclitaxel Compared With Carboplatin + Nab-paclitaxel in Participants With Stage IV Squamous Non-small Cell Lung Cancer (NSCLC)

治験の概要

化学療法未治療のステージⅣ非小細胞肺がん患者に対してテセントリク+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法、又はテセントリク+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法を投与し、そのの有効性と安全性を比較する治験

治験の期限

2018年1月1日 参照 1)中外製薬株式会社プレスリリース 2)肺がん診療ガイドライン
ニュース 肺がん 免疫チェックポイント阻害薬

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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