Ash 2022 – talquetamabの開発の流れにのってEvaluate Vantage(2022.12.11)より


  • [公開日]2022.12.23
  • [最終更新日]2022.12.21

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

スイスのロシュ社と米ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、この業界でGPRC5Dに対する次なる資産を持っていると思われる。

昨日(2023年12月10日)、Ashで取り上げられた米ジョンソン・エンド・ジョンソン社のtalquetamabは、多発性骨髄腫の治療法として、近い将来、まったく新しいアプローチとなる可能性を秘めている。しかし、同じGPRC5Dを標的とする競合治療薬を開発するために、他の企業はどんな動きをしているのか?

この週末、Ashの2つのセッションがその答えを示した。ロシュ社のforimtamigはT細胞の働きに寄与する二重特異的抗体で、静脈注射と皮下注射で研究されているが、talquetamabには及ばないような結果だった。また、ブリストル・マイヤーズスクイブ社のCar-T療法であるBMS-986393においては、B細胞成熟抗原(BCMA)に対する治療歴に関係なくその可能性を裏付けるヒトでは初めてのデータが得られている。

GPRC5Dに注目が集まるきっかけとなったのは、ブリストル社の残した資産である。Ash 2018の時点では、この抗原に対するCar-TであるMCARH109が前臨床試験の可能性を持っていると言われていた。MCARH109は当時、米セルジーン社に買収されたばかりの米Juno Therapeutics社の資産であり、その後ブリストル社はセルジーン社を買収した。

しかし、BMS-986393はこれとは異なる資産であるように思われる。ブリストル社は、33人の再発/難治性多発性骨髄腫患者(うち18人は抗BCMA療法の前治療歴あり)において、治療関連死はなく、重度のサイトカイン放出症候群CRS)の発生率は比較的低い6%であったと報告している。

すべての投与量において、有効性が認められた 19 例中 17 例が寛解し、抗 BCMA 薬を投与したことのない 10 例では ORR奏効率) が 100%を示し、Carvykti、ALLO-715、Blenrep または研究開発中の二重特異性抗体を投与して進行した 9 例のORRは78%であった。


BMS-986393 efficacy. Source: Dr Jesus Berdeja & Ash.

ジョンソン・エンド・ジョンソン社のtalquetamabも、BCMA未治療の患者と治療歴のある患者で活性を示したが、その両者で承認されるかどうかはFDA(米国食品医薬品局)次第である。

一方、ロシュ社のforimtamigのデータセット(以前はRG6234とコードされていた)は、20%強に抗BCMA療法の治療歴がある被験者を対象に、50人に静脈注射、57人に皮下注射を行った。ここでは、重篤なCRSが30%以上と高く、皮下注射群では1名がforimtamigに関連する死亡と判断された。

奏効率は、静脈注射群が皮下注射群より良好で、それぞれ71%と64%であり、両投与法の評価と最適化が進行中であるという。しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソン社が申請したtalquetamabは2回の皮下注射を前提としていたため、実際にはロシュ社はforimtamigの皮下注射にしか競合しないだろう。

昨日のAshのデータではtalquetamabのORRは70%の基準値を超えており、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の研究では重症のCRS発生率はわずか2%だったため、試験間比較をした限りではロシュ社がもう少し頑張る必要がありそうだ。他のGPRC5Dに対する開発プロジェクトは、欧米では臨床開発段階にはないようである。


Source: Dr Carmelo Carlo-Stella & Ash.

■出典
ash-2022-following-talquetamabs-slipstream

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