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転移性膵管腺がんと診断された高齢患者におけるQOLや機能評価と生存率の相関解析 ASCO-GI 2025
[公開日] 2025.02.18[最終更新日] 2025.02.20
2025年1月23日-1月25日、米国サンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI)にて、未治療の転移性膵管腺がん(PDAC)に対する化学療法の有効性を高齢患者に特化して評価したECOG-ACRIN EA2186(GIANT)試験の探索的解析の結果が発表された。
同解析は、高齢の転移性PDAC患者の治療転帰に影響する因子を調べるため、GIANT試験に登録された患者を対象に、ベースラインの生活の質(QOL)や機能評価と生存率との相関関係を分析したものである。
GIANT試験に登録された176人(ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法群およびフルオロウラシル+ロイコボリン+リポソーム型イリノテカン併用療法群、各88人)の患者背景は、年齢中央値が77歳(70-90歳)、ECOG PS 0が24%、同1が64%、同2が12%であった。また認知機能、年齢、または合併症の観点から、それぞれ46%、36%、31%で脆弱性(高齢者機能評価スクリーニングによって、身体機能、合併症または認知機能に軽度の異常を認めること、あるいは年齢が80歳以上であること、と定義)を有する集団と判断され、特に35%は2つ以上の項目で脆弱性の基準に該当した。
全生存期間(OS)と強い相関が認められた因子は、手段的日常生活動作スコア(ハザード比:0.84、p=0.02)、栄養スコア(ハザード比:0.82、p<0.0001)、うつ病スコア(ハザード比:1.07、p=0.02)、およびすべてのQOL測定スコア(ハザード比:0.98、p<0.0001)であった。一方で、合併症や認知および(基本的な)日常生活動作における相関は認められなかった。
また有害事象発現率との関連も調べたところ、年齢およびPSを調整後のベースラインにおける白血球数レベル(オッズ比=0.35、p=0.0054)、うつ病スコア(オッズ比=1.20、p=0.021)が、グレード3以上の毒性の発現率と相関していることが明らかとなった。
同解析により、脆弱性を有する高齢のPDAC症例において、ベースラインの機能評価やQOLは生存率と相関しており、予後不良因子を有する症例に対する早期の支持療法の介入が、生存率の改善に影響を与える可能性が示唆された。
参照元:
Effect of baseline geriatric and quality of life assessments on treatment outcomes in ECOG-ACRIN EA2186 (GIANT): A randomized phase II study of gemcitabine and nab-paclitaxel compared with 5-fluorouracil, leucovorin, and liposomal irinotecan in older patients with treatment-naïve metastatic pancreatic cancer.(ASCO-GI 2025)
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