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ASCO 2023-その他のがん-

[公開日] 2023.06.19[最終更新日] 2023.06.19

目次

6月2日から6日まで、米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)が開催された。がん領域として最大の学術集会(学会)であるASCOでは、毎年多くの注目すべき研究結果が発表されている。これまで4回にわたって「ASCO 2023 がん種別にみたポイント」をお届けしてきたが、今回はこれまで取り上げていないがん種について、データとそのディスカッションポイントをまとめてご紹介したい。

血液がん

再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療におけるCAR-T細胞療法:ZUMA-7試験

Abstract#LBA107 ZUMA-7試験は、早期再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)に対する二次治療として、CAR-T療法アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)と大量化学療法+自家造血幹細胞移植による標準治療の有効性および安全性を比較した第III相多施設共同ランダム化比較試験。今回の全生存期間(OS)の主解析の結果が発表され、Axi-Celは既存の標準治療よりも有意にOSを延長できることが明らかとなった。 LBCL患者に対する二次治療の設定でOSを改善した無作為比較試験は30年ぶりとのこと。発表者のWestin氏は、「ZUMA-7試験は、優れた生存率に基づいて、1次治療に不応または早期再発の大型B細胞リンパ腫患者に対する二次治療としてaxi-celが標準治療であると確認しました」と述べ、今回の試験は、1次治療の効果持続期間に基づいて治療が選択されるようになる、パラダイムシフトが起こり得る結果として注目を集めた。

婦人科がん

BRCA陰性の進行卵巣がんに対するデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)・化学療法・ベバシズマブ(製品名:アバスチン)またはデュルバルマブ・オラパリブ(製品名:リムパーザ)・ベバシズマブの維持療法:DUO-O試験

Abstract#LBA5506 DUO-O試験は、腫瘍にBRCA遺伝子変異を有しない高グレードの進行上皮性卵巣がんに対して、導入療法としてのデュルバルマブ、化学療法、ベバシズマブ併用療法後、維持療法としてデュルバルマブ、オラパリブ、ベバシズマブを投与することは、導入療法としての化学療法とベバシズマブ併用後、維持療法としてベバシズマブを投与する場合に比べ、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善できることが明らかとなった。 これまで治療が難しいとされてきた相同組換え修復欠損(HRD)陰性症例に効果を示した点で評価が高い。一方で、HRD陽性症例に対するオラパリブ+ベバシズマブ併用の有用性は既にPAOLA-1試験で示されており、そこにデュルバルマブを追加することの意義があるのかどうかを評価することは、今回の試験デザインでは限界があることには注意が必要といえる。また、3剤併用ともなると有害事象の増加が無視できないため、本当に治療介入が必要なケースを選択することが重要ではないだろうか。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫における病医学的評価に基づく術後療法の選択:PRADO試験 & OpACIN-neo試験

Abstract##101 悪性黒色腫を対象としたOpACIN-neo試験とPRADO試験の3年間のデータ。OpACIN-neo試験では、術前療法としてのイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)+ニボルマブ(製品名:オプジーボ)後のリンパ節郭清(TLND)が、PRADO試験では術後治療の個別化アプローチ(病理学的著効(MPR)が得られた場合、TLNDと術後補助療法を省略。病理学的非奏効(pNR)の場合、TLND後に術後療法を施行)が、それぞれ検討されている。 今回は、1)MPR例でTLNDが省略可能であること、2)pNR症例には術後治療を追加することで予後が改善することが示された。 がん種よっては、手術により根治を目指せるケースもある。不必要な術後の治療介入を避けてメリットが得られる場合にのみ、術後療法を実施することが重要であり、今回の報告によって他のがん種よりも一歩リードしたと言えるのではないだろうか。今後、周術期の薬物療法の開発が進む乳がんや大腸がん、肺がんなどにおいても、同様の検討が期待される。

高リスク悪性黒色腫に対する術後のmRNAワクチン+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の有効性検討:mRNA-4157-P201/KEYNOTE-942試験

Abstract#LBA9503 mRNA-4157-P201/KEYNOTE-942試験は、切除可能高リスクIIIB/C/D期およびIV期の悪性黒色腫を対象に、術後のペムブロリズマブ単剤、または患者特異的な腫瘍抗原をコードした新規mRNAがんワクチン併用による効果を比較した試験であり、今年のAACR(米国がん学会)にて主要評価項目である無再発生存(RFS)の有意な改善を示した。 今回のASCOでは、副次評価項目である無遠隔転移生存期間(DMFS)についてのデータが初めて発表され、ペムブロリズマブ単剤と比較して、ワクチン併用により遠隔転移を有意に抑えることが示唆された。 これまでペムブロリズマブをはじめとする免疫療法は、免疫細胞が認識する腫瘍抗原がより豊富な手術前の方が有効性が高いのではないかと言われてきたが、手術後に人工的な個別化抗原と併用することで、術後の免疫療法の高い効果が示された点は興味深い。 米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピー指定、欧州医薬品庁(EMA)から併用療法の優先医薬品(PRIME)指定を受けており、悪性黒色腫での第3相試験や他がん種への展開が予定されている。

固形がん

切除不能な局所進行または転移性HER2発現固形がんに対するトラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd. 製品名:エンハーツ)の有効性検討:DESTINY-PanTumor02試験

Abstract#LBA3000 DESTINY-PanTumor02試験は、進行固形がんを対象にT-DXdの有効性・安全性を検討した第2相試験である。今回の発表により、T-DXdが腫瘍の種類を問わず幅広く持続的な活性を持ち、特に子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がんの患者さんにおいて高い奏効率が期待できることが示された。 ディスカッションの中では、同試験の重要な点として、希少がんを含むさまざまな種類のがんを対象としている点が挙げられた。マイクロサテライト不安定性の高い腫瘍(MSI-H)に対する免疫療法や、NTRK融合遺伝子陽性腫瘍に対する分子標的薬に続く、抗体薬物複合体(ADC)では初の臓器横断的開発として期待されているようだ。 また、多くのがん種においてHER2の検査は普及していない現状があるため、T-DXdの臓器横断的な開発に合わせて、HER2の最適な検査方法の検討や検査体制の確立も課題となってくるだろう。
ニュース 卵巣がん ASCO

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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