ASCO-GI 2023 – ゾルベツキシマブによりクローディン18.2の発現に光が当たるEvaluate Vantage(2023.1.20)より


  • [公開日]2023.01.27
  • [最終更新日]2023.01.25

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

評価対象患者の39%がこのバイオマーカーを保有していたことが、学会発表で明らかになった。

アステラス製薬のゾルベツキシマブを評価するSpotlight試験の最終結果は、クローディン18.2を標的とすることがいかに大きな意味を持つかという疑問に答えるものである。

これは既に昨日(2023年1月19日)、当初の(結果に対する)期待感が公表され、米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウムでその詳細が発表されたSpotlight試験の重要な成果の一部に過ぎない。この結果は、アステラス製薬だけでなく、クローディン18.2タンパク質を標的とするゾルベツキシマブのメカニズムに賭けている中Transcenta Holding社、独バイオテック社、米Leap Therapeutics社などの企業にとっても重要であろう。

Spotlight試験は、Her2陰性でクローディン18.2の発現も顕著な初回治療の胃/胃食道接合部(GEJ)腺がんでゾルベツキシマブと化学療法併用療法を行った。しかし、クローディン18.2の検査は一般的ではなく、このバイオマーカーで定義された患者層がどの程度の規模に相当するのかは、明らかにはなっていなかった。

2,244人の患者が最初にクローディン18.2発現を評価され、そのうち865人が十分に陽性(Ventana assayによる75%以上の発現率)と判断され、Spotlight試験に無作為に割り付けられた、とAsco-GIで発表された。つまり、少なくともHer2陰性の胃/GEJ腺がんの症例の39%が対象となる。

ゾルベツキシマブの歩んだ道のりを振り返って

明らかに他のがんでは、クローディン18.2の発現レベルが異なるだろう。ゾルベツキシマブに次ぐ最新の抗クローディン18.2抗体であるTranscenta社のosemitamabは、クローディン18.2陽性の胆道がんを対象に第2相試験を実施しておりバイオテック社のBNT141は、クローディン18.2を50%以上発現する種々のがんに対して臨床試験を実施中である。

もう1つの謎は、ゾルベツキシマブの有効性は、化学療法単独に対して死亡リスクを33%減少させた胃がんの結果に完全に左右されているようだということである。Spotlight試験の565人の有効性集団のうち、GEJが原発部位である136人の患者では、有効性は全く認められず、ハザード比は1.07であることが、昨日のサブグループ解析の発表で明らかにされた。

この試験では、悪心、嘔吐、低カリウム血症低アルブミン血症以外の毒性に関する懸念はなく、生存曲線は比較的後期に分離が見られ、依然として確立されていないバイオマーカーの存在が示唆された。

Asco-GIでは、Spotlight試験の速報の後、より典型的なHer2陰性の胃/GEJ腺がんを対象とした、チスレリズマブと化学療法の併用によるBeigene社のRationale-305試験の最初の中間解析の結果が発表された。

この試験は、PD-L1発現に関係なく患者が登録されていたが、今回の発表ではPD-L1陽性患者に焦点が当てられていたため、Rationale-305試験が全体集団で失敗したように受け取られがちであった。しかし、そうとは限らない。試験のスキームでは、PD-L1が5%以上発現している患者を最初に分析し、全生存期か(OS)の結果が良好な場合にのみ、intention-to-treat(ITT)解析で結果を検証することが定められていたのである。

この段階的な分析のおかげで、PD-L1陽性患者のOSベネフィットのp値0.0056は、統計的に有意であるとBeigene社は発表することができたのである。後日学会で発表される予定の全体集団におけるOSは、最終解析での検証が計画されおり、Beigene社はEvaluate Vantageチームに対し、今年後半に行われる予定だとコメントしている。

■出典
asco-gi-2023-zolbetuximab-sheds-light-claudin182-expression

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