2024年5月31日-6月4日、米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)のPlenary Sessionにて、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の緩和ケアにおける対面診療と遠隔診療の質を比較したREACH PC試験の結果が、米国Massachusetts General Hospital, Harvard Medical SchoolのJoseph A. Greer氏らにより発表された。
同試験は、2018年6月14日から2023年5月4日に米国18州22施設において進行NSCLCと診断された患者1,250例に対し、遠隔診療(633例)と対面診療(617例)に無作為割付け、月一回の診療を実施。主要評価項目は24週におけるQOLの同等性であり、Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung(FACT-L:身体的・社会的・感情的・機能的状態および肺がん特異的症状について0ー136点で評価する質問票)によって評価された。
24週目において、遠隔診療群と対面診療群でQOLスコアは統計学的に同等であった(FACT-L:99.67点 vs 97.67点)。また両群において、患者が報告した抑うつ、不安、対処スキルおよび満足度における有意差はなかった。
一方で、遠隔診療群における介護者の参加率は、対面診療群に比べて有意に低かった(36.6% vs 49.7%)が、これは対面診療群において、家族などが診療時の移動を支援する必要があった可能性が指摘された。
今後更にサブグループ解析を進めることで、どのような患者さんがより遠隔診療による恩恵を受けることができるのかを評価していく予定だ。
今回の大規模無作為化試験によって、遠隔よる緩和ケアの実行可能性および対面診療と同等の転帰をもたらすことが示された。Joseph A. Greer氏によると、既に進行非小細胞肺がんにおいて、早期緩和ケア介入が生存を含む患者の転帰を改善することが示されており、今後同試験の知見をもとに、遠隔による緩和ケアへのアクセス改善・普及が期待される。
参照元:
Comparative effectiveness trial of early palliative care delivered via telehealth versus in person among patients with advanced lung cancer.(ASCO 2024)
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