※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。
英アストラゼネカ社/第一三共株式会社のエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え))とスイス・ロシュ社のポライビー(一般名:ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え))は、既存の早期治療ラインの薬剤を脅かす可能性のある重要な試験結果を残した。 アストラゼネカ社のエンハーツとロシュ社のポライビーが持つ潜在的な目標は、これらの抗体薬物複合体(ADC)が現行の添付文書に記載されているラインよりも早期の治療ラインに進めることにある。今朝(8月8日)、この目標を達成するための主要な試験において、両者は重要な成功を収めたようだ。 エンハーツとポライビーは、それぞれ乳がんとリンパ腫という異なる疾患を対象としているが、同じような経緯をたどっており、2019年に米国で早期承認を取得したものの、これまでのところ売上は控えめなレベルにとどまっている。本日(8月8日)発表されたDestiny-Breast 03試験とPolarix試験からのデータはまだ得られていないが、証券アナリストが見積もった両薬剤に対する2026年の売上予想、41億ドルと14億ドルの達成の可否はこれらの試験結果によって決まるであろう。 2週間前、アストラゼネカ社は三次治療以降のHER2陽性乳がんで最初の適応をとったADC薬エンハーツの上半期の売り上げを8900万ドルと報告した。同社はこの適応症で非対照のDestiny-Breast 01試験に基づき、早期承認を獲得した。 今朝方に発表された成功はDestiny-Breast 03試験に関するもので、二次治療の乳がんを対象に、エンハーツと同剤のライバルであるロシュ社のADC 「カドサイラ(一般名:トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え))」をアクティブコントロール群として比較した初めての試験である。アストラゼネカ社によると、データモニタリング委員会は、無増悪生存期間(PFS)の中央値が「有意で臨床的に意味のある」改善を示したため、暫定的な中止を推奨したと述べた。全生存期間(OS)は未熟であるが、良好な傾向にあるとしている。 生存率の改善と間質性肺疾患の発生率の意義ある定量化のためには、完全なデータが必要となり、間質性肺疾患はブラックボックス化された有害事象で早期治療への適応を妨げる可能性がある。完全な結果を発表する場としては、欧州臨床腫瘍学会議(ESMO)やSan Antonio Breast Cancerのミーティングなどが考えられる。 しかし、アストラゼネカ社は時間を無駄にせず、ここ3ヶ月の間に開始された一次治療のDestiny-Breast 09試験を含め、乳がんを対象としたエンハーツの試験を数多く実施している。おそらくこれは、第一三共社からの13.5億ドルでのライセンスという当社のエンハーツに対する大きな賭けと、HER2陽性乳がんにおける競争激化によって、拍車がかけられているだろう。
