ロシュ社にとってTigit(とアルツハイマー病)の一年Evaluate Vantage(2022.2.3)より


  • [公開日]2022.02.10
  • [最終更新日]2022.02.10

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

tiragolumabの極めて重要な4つのリードアウトにより、スイス・ロシュ社の2022年はアルツハイマー病だけの年ではない。

Tigitにおける競争者としてtiragolumabの9つの重要な臨床試験開始してから2年、ロシュ社はその賭けに価値があったかどうかを見極めることになる。2022年は、これらの試験のうち4つのデータが得られる年になると、スイスの会社は今日(2月3日)、投資家に語った。

gantenerumab(ガンテネルマブ)の第3相Graduate-1試験およびGraduate-2試験のリードアウトが間近に迫る中、アルツハイマー病に代わって多くの投資家が注目する重要なテーマとなるだろう。しかし、tiragolumabの可能性は、主にPD-L1発現の肺がんにあることが第2相試験で示されたにもかかわらず、ロシュ社がTigitのペダルから足を離していないことは明らかだ。

したがって最大の疑問は、Tiragolumabの巨大な主要プログラムが今日(2月3日)の第4四半期のプレゼンテーションでロシュ社が強調した他の腫瘍タイプのいずれにおいても、重要な活性を示唆するかどうかということだ。2022年のカタリスト(相場を大きく動かす端緒となるイベントや材料のこと)として、PD-L1高発現の非小細胞肺がん(NSCLC)のファーストライン治療に加え、子宮頸がんのセカンドライン治療、小細胞肺がん(SCLC)と食道がんに対するフロントライン治療が挙げられる。

最近の出来事からすると、子宮頸がんは少なくとも望みが薄いように思われる。生存率の向上を示す対照試験に基づいた米メルク社のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)のフロントライン治療の迅速承認とセカンドライン治療としての正式な適応取得は、すでに米アジェナス社のBalstilimabから勝利を奪っているのだ。

Balstilimabの申請は、非対照試験での寛解率に基づいており、今後生存データのみが有効となることは明らかだ。Skyscraper-04試験は、PD-L1陽性患者に対するセカンドライン治療としてのTiragolumabとテセントリク(一般名:アテゾリズマブ)の併用療法であり、客観的奏効率ORR)を主要評価項目とし、全生存率(OS)は副次的評価項目である。

ORRに主眼が置かれていることを除いて、子宮頸がんに対して未承認薬であるテセントリクが、この適応において適切な比較対象として認められるかどうかは明らかではない。このがん種における競争力をさらに示すものとして、仏サノフィ社/米リジェネロン社が最近、キイトルーダではなく化学療法に対するOSのベネフィットに裏付けられたセカンドライン治療としてのリブタヨ(一般名:セミプリマブ)の申請を取り下げたことが挙げられる。

それでも、Tiragolumabの主要なカタリストは、PD-L1高発現のNSCLCに対するファーストライン治療としてのテセントリクとの併用療法であるSkyscraper-01試験だ。第2相Cityscape試験は、PD-L1≧50%の患者において、テセントリク単剤に対して死亡リスクを77%減少させることを示し、この効果は「目を見張るもの」であるとロシュ社は今日、投資家に念を押した。Skyscraper-01試験は、Cityscape試験よりはるかに巨大で、このような結果が繰り返されると期待するのは、最も積極的な強者だけである。

他の2つの重要なリードアウトのうち、SCLCではTiragolumabとテセントリクおよび化学療法の併用によって、テセントリクと化学療法の併用をしのぐことが期待されるが、このがん種ではTiragolumabの臨床データはこれまで報告されていない。食道がんでの成功は、Tiragolumabにとってもテセントリクにとっても新しい適応となる。

出入り

ロシュ社の第4四半期のアップデートでは、非常に多くの新しい分子化合物が初めて臨床に投入され、また多くの第1相および第2相試験中止のニュースも含まれている。

前者の多くは、これまでほとんど明かされておらず、そのメカニズムは不明だが、中外製薬の2つの新規プロジェクト、SPYK04とLUNA18はRas/Mapキナーゼ経路をターゲットとしているようだ。

興味深いアルツハイマー病のアセットであるRG6289もまた、新たに第1相試験が開始された。そのメカニズムは未公開で、2021年初頭から第2相試験を実施しているガンテネルマブの「ブレインシャトル」版であるRG6035とは別物だ。

これらの資産やその他の資産は引き続き注視していく必要があるが、ロシュ社の医薬品事業責任者であるビル・アンダーソン氏は投資家に対し、「2022年のカタリストに関してはガンテネルマブのリードアウトが『すべての中で最大のもの』である」と述べている。

■出典
A year of Tigit (and Alzheimer’s) for Roche

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