10月21日、厚生労働省薬事審議会 医薬品第二部会が開催された。同部会において、審議事項のうち3製品が、また報告事項のうち6製品ががん関連の薬剤であった。
審議品目
ヘルネクシオス錠60mg(ゾンゲルチニブ)
申請企業: 日本ベーリンガーインゲルハイム
効能・効果:
「HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能医薬品
ヘルネクシオスは、2025年9月に「がん化学療法後に増悪したHER2遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌」を対象として承認を得ており、今回の承認により初回治療での使用が可能となる(ただし条件付き承認)。
国内では、HER2遺伝子変異陽性NSCLCに対する初回治療を含めた治療薬として、HER2チロシンキナーゼ阻害剤ヒアニュオ(一般名:セバベルチニブ)が、2026年8月に承認を得ている。
なお、HER2遺伝子変異陽性NSCLCの初回治療を対象に、ヘルネクシオスとプラチナ系抗がん剤を含む化学療法+キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の併用療法とを比較する第3相Beamion LUNG-2試験が進行中である。
ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL(ボロファラン(10B))
申請企業:ステラファーマ
効能・効果:
「再発髄膜腫」を効能・効果とする新効能医薬品
髄膜腫は、脳と脊髄を保護している髄膜の内側にできる脳腫瘍の一種であり、ステボロニンは髄膜腫の適応を持つ薬剤では国内初となる。
ステボロニンは、フェニルアラニン誘導体である4-ボロノ-L-フェニルアラニンに含まれるホウ素の中の10Bの存在比を高めた薬剤である。体外から中性子線を照射することで、がん細胞に取り込まれた10Bが中性子を捕捉し、核反応により生成されたアルファ線及びリチウム原子核を放出することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
ツカイザ錠50mg、同錠150mg(ツカチニブエタノール付加物)
申請企業:ファイザー
効能・効果:
「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な胆道がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品
ツカイザは、経口のHER2チロシンキナーゼ阻害剤である。
今回の承認においては、ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)との併用で使用される。
報告品目
リツキシマブBS点滴静注100mg「CT」、同BS点滴静注500mg「CT」(リツキシマブ(遺伝子組換え)[リツキシマブ後続3])
申請企業:セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン
効能・効果:
「CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、既存治療で効果不十分なループス腎炎、下記のネフローゼ症候群:頻回再発型あるいはステロイド依存性のネフローゼ症候群、難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型、ステロイド依存性あるいはステロイド抵抗性を示す場合)、持続性及び慢性免疫性血小板減少症、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与」を効能・効果とするバイオ後続品
リツキシマブは、がん細胞などに存在するCD20を標的としたモノクローナル抗体薬リツキサンの3番目のバイオ後続品である。細胞表面のCD20抗原に特異的に結合し、補体依存性細胞傷害作用(CDC)及び抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)によってがん細胞を障害すると考えられている。
プルヴィクト静注(ルテチウムビピボチドテトラキセタン(177Lu))
申請企業:ノバルティスファーマ
効能・効果:
「PSMA陽性の遠隔転移を有する前立腺がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品
プルヴィクトは、PSMAのリガンドであるビピボチドテトラキセタンと177Lu(ルテチウムの放射性同位体)の錯体である。前立腺がんで高発現するPSMAに結合し、177Luから放出されるベータ線が細胞を傷害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
注射用レザフィリン100mg(タラポルフィンナトリウム)
申請企業: Meiji Seika ファルマ
効能・効果:
「子宮頸部上皮内腫瘍」を効能・効果とする新効能医薬品
レザフィリンは、日本において、早期肺がん、原発性悪性脳腫瘍、化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残再発食道がんに適応を持つ光線力学的療法。タラポルフィンナトリウムにレーザ光を照射することにより生じる一重項酸素が、がん細胞に直接障害を与えること、あるいは腫瘍血管に障害を与えることにより、抗腫瘍効果を示すと考えられている。
オニバイド点滴静注43mg(イリノテカン塩酸塩水和物)
申請企業: 日本セルヴィエ
効能・効果:
「治癒切除不能な膵がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品
オニバイドは、有効成分であるイリノテカンをポリエチレングリコール(PEG)で修飾したリポソームに封入した薬剤である。
すでに「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌」の適応を持つが、今回の承認により初回治療からの使用が可能になる。
ジャイパーカ錠50mg、同錠100mg(ピルトブルチニブ)
申請企業: 日本イーライリリー
効能・効果:
「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする新効能医薬品
ジャイパーカは、非共有結合型のBTK阻害剤である。すでに「他のBTK阻害剤(共有結合型)に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)(CLL/SLL)」の適応を持つが、今回の承認により初回治療からの使用が可能になる。
なお、CLL/SLLの初回治療に対するBTK阻害剤(共有結合型)は、イムブルビカ、カルケンス、ブルキンザが承認されている。
ビーリンサイト点滴静注用35μg(ブリナツモマブ(遺伝子組換え))
申請企業: アムジェン
効能・効果:
「B細胞性急性リンパ性白血病の寛解後療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品
ビーリンサイトは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3とB細胞性腫瘍の細胞膜上に発現するCD19を標的とした二重特異性抗体である。T細胞とB細胞を架橋することでT細胞を活性化し、CD19陽性のB細胞性がん細胞を障害すると考えられている。
参照元:
厚生労働省 薬事審議会(医薬品第二部会)