2026年9月7日、医学誌「The Lancet Oncology」にて、BRCA1/2遺伝子変異のない初発の進行上皮性卵巣がん・卵管がん・原発性腹膜がんを対象に、化学療法への抗PD-1抗体キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)上乗せおよびその後の維持療法としてのキイトルーダ+PARP阻害薬リムパーザ(一般名:オラパリブ)併用療法の有効性と安全性を検証した
国際多施設共同第3相臨床試験(ENGOT-OV43/GOG-3036/KEYLYNK-001試験)の最終解析結果が公表された。
試験デザイン
対象
BRCA遺伝子変異陰性の初発進行上皮性卵巣がん・卵管がん・原発性腹膜がん(III-IV期相当)患者(過去にPD-1/PD-L1阻害薬またはPARP阻害薬による治療歴がない患者)
レジメン(治療法)
化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはドセタキセル)1サイクル(リードイン)実施後に、以下の群に1:1:1で割り付けた。
また治験医師の判断により、全群でアバスチン(一般名:ベバシズマブ)の併用が可能であった。
キイトルーダ+リムパーザ群:キイトルーダ+化学療法→維持療法としてキイトルーダ+リムパーザ(n=455)
キイトルーダ単剤群:キイトルーダ+化学療法→維持療法としてキイトルーダ+プラセボ(n=458)
対照群:プラセボ+化学療法→維持療法としてプラセボ(n=454)
評価項目
主要評価項目:無増悪生存期間(PFS;PD-L1 CPS≧10集団でまず検証、次いでITT集団全体で検証)
結果
有効性
最初の中間解析(追跡期間中央値30.1ヵ月)時点で、キイトルーダ+リムパーザ群と対照群のPFSの比較において、CPS≧10の集団ではハザード比が0.63(95%信頼区間:0.49-0.80、p<0.0001)、ITT集団全体では0.68(95%信頼区間:0.58-0.81、p<0.0001)であり、いずれも有意差が認められた。
最終解析(追跡期間中央値49.6ヵ月)時点では、両群のPFSの比較において、CPS≧10の集団ではハザード比が0.66(95%信頼区間:0.53-0.83)、ITT集団全体では0.71(95%信頼区間:0.61-0.84)であり、キイトルーダ+リムパーザによるPFS改善効果が維持されていた。
一方、キイトルーダ単剤群と対照群のPFSの比較においては、CPS≧10の集団でハザード比が0.95(95%信頼区間:0.77-1.19、p=0.33)であり、有意差は認められなかった。
安全性
グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発現率は、キイトルーダ+リムパーザ群で66%、キイトルーダ群で56%、対照群で51%であった。主なグレード3以上のTRAEは、好中球減少症(キイトルーダ+リムパーザ群で23%、キイトルーダ群で17%、対照群で20%)、貧血(各群それぞれ22%、13%、11%)、好中球数減少(3群いずれにおいても15%)であった。
重篤な治療関連有害事象(SAE)の発現率は、キイトルーダ+リムパーザ群で24%、キイトルーダ群で21%、対照群で9%であり、最も多かったのは発熱性好中球減少症(各群それぞれ4%、4%、2%)であった。
治療関連死亡は、キイトルーダ+リムパーザ群で4例(脳出血、硬化性胆管炎、血球貪食性リンパ組織球症、大腸炎)、キイトルーダ群で1例(消化管出血)であった。
結論
BRCA遺伝子変異のない初発の進行上皮性卵巣がん・卵管がん・原発性腹膜がんに対する初回治療として、キイトルーダ+化学療法に続くキイトルーダ+リムパーザの維持療法は、化学療法と比較してPFSの改善を認め、新たな治療選択肢となる可能性が示唆された。
参照元:
Chemotherapy with or without pembrolizumab followed by maintenance pembrolizumab with or without olaparib as first-line treatment of patients with advanced BRCA non-mutated epithelial ovarian cancer (ENGOT-OV43/GOG-3036/KEYLYNK-001): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial(Lancet Oncol 2026 doi: 10.1016/S1470-2045(26)00223-8.)