2026年9月、医学誌「The Lancet Oncology」にて、根治的切除やラジオ波焼灼療法、肝移植が適さず、肝動脈化学塞栓療法(TACE)適応となる局所進行肝細胞がんを対象に、標準療法であるTACEに対するSTRIDEレジメン(抗PD-L1抗体イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)+抗CTLA-4抗体イジュド(一般名:トレメリムマブ))併用療法、あるいはSTRIDE+マルチキナーゼ阻害薬レンビマ(一般名:レンバチニブ)併用療法を比較検証した
国際多施設共同第3相オープンラベル試験(EMERALD-3試験)の結果が公表された。
試験デザイン
対象
根治的切除やラジオ波焼灼療法、肝移植が非適応かつTACE適応となる Child-Pugh A 機能の局所進行肝細胞がん患者
レジメン(治療法)
TACE+3剤併用群:STRIDE(イジュド静注+イミフィンジ静注)+レンビマ経口+TACE(n=293)
TACE+2剤併用群:イジュド静注+イミフィンジ静注+TACE(n=175)
対照群:TACE単独施行(n=292)
評価項目
主要評価項目:TACE+3剤併用群 vs 対照群における無増悪生存期間(PFS)
重要な副次評価項目:TACE+3剤併用群 vs 対照群における全生存期間(OS)、TACE+2剤併用群 vs 対照群におけるPFSおよびOS
結果
有効性
追跡期間中央値10.0ヵ月時点のPFSの中央値は、TACE+3剤併用群で13.0ヵ月(95%信頼区間:12.2-16.7)に対して対照群で9.8ヵ月(95%信頼区間:8.0-11.4)、ハザード比が0.70(95%信頼区間:0.57-0.86、p = 0.0007)であり、TACE+3剤併用群で有意な改善が認められた。
またTACE+2剤併用群におけるPFSの中央値は12.9ヵ月(95%信頼区間:10.2-15.9)に対して、対照群(最初に無作為化された175例)で8.1ヵ月(95%信頼区間:6.5-10.2)、ハザード比が0.71(95%信頼区間:0.56-0.91)であった。
OSの中央値は、TACE+3剤併用群で39.5ヵ月(95%信頼区間:34.1-未達)に対して対照群で34.7ヵ月(95%信頼区間:28.8-未達)、ハザード比が0.84(95%信頼区間:0.65-1.09、p = 0.18)であり、統計的な有意差は認められず、最終解析に向け追跡が進行中である。
安全性
Grade 3または4の主な有害事象(AE)は、TACE+3剤併用群において高血圧(12% [34/287例])が最も高頻度に認められ、TACE+2剤併用群において塞栓後症候群(6% [10/175例])、貧血(6% [10/175例])、対照群において塞栓後症候群(6% [17/290例])が認められた。
重篤な有害事象(SAE)は、TACE+3剤併用群で64%(184/287例)、TACE+2剤併用群で51%(89/175例)、対照群で23%(68/290例)に発現した。
治療関連有害事象(TRAE)が報告された死亡例は、TACE+3剤併用群で7例(2%;心筋炎2例、肝不全1例、血球貪食性リンパ組織球症1例、敗血症性ショック1例、心不全1例、原因不明1例)、TACE+2剤併用群で0例(0%)、対照群で2例(1%;急性心筋梗塞1例、原因不明1例)報告された。
結論
今回の結果は、TACE適応の局所進行肝細胞がんにおいて、TACE単独と比較してSTRIDE療法をベースとした併用療法が、新たな治療選択肢となり得る可能性を支持するものである。なお、OSの最終解析に向けた継続的な追跡が行われている。
参照元:
Durvalumab and tremelimumab, with or without lenvatinib, combined with transarterial chemoembolisation in participants with embolisation-eligible hepatocellular carcinoma (EMERALD-3): a global, randomised, open-label, sponsor-blinded, phase 3 study(Lancet Oncol 2026 Sep;27(9):1077-1093. doi: 10.1016/S1470-2045(26)00278-0.)